「自律的なモチベーション」が高いことの効能は?
「自律的なモチベーション」と「統制的なモチベーション」――それぞれが高まることは仕事にどのような影響を与えるのだろうか。
伊達 先行研究によれば、「自律的なモチベーション」が高い方が、ワーク・エンゲージメントが高まったり、バーンアウトをしにくくなったりすることがわかっています。逆に、「統制的なモチベーション」が高い場合は、バーンアウトしやすいといわれています。また、「自律的なモチベーション」の高い人の方が周囲への知識の共有なども積極的に行います。「統制的なモチベーション」が高い人は、知識を伝えようとしない傾向があることもわかっています。つまり、仕事をするうえでは、「自律的なモチベーション」の有効性に注目が集まりやすいといえるでしょう。
一言で「モチベーション」といっても、仕事にもたらす影響は、その種類によって異なるようだ。「自律的なモチベーション」が高いことで、大きなトラブルに遭遇した際にも仕事に向かう気持ちが折れずに、仕事への意欲を維持しやすくなるという。
伊達 例えば、プライベートで大変な出来事があったとしましょう。どのような人であっても、多かれ少なかれ、仕事への意欲に影響を与えるはずです。しかし、「自律的なモチベーション」が高い人は、大きなショックに遭遇したとしても、その回復が早いことがわかっています。「自分にとっては、仕事が掛け替えのないものである」と繰り返し感じていることで、仕事に取り組む意義を見失わずにいられるのでしょう。「いまの仕事を天職だと感じている」「この仕事を一生続けたいと考えている」といった思いがあることで、仕事への意欲が維持できます。