自律型人材の育成につながる“パーパス・ドリブンな組織”の作り方

近年、「パーパス」は、ビジネスシーンで耳にするようになったキーワードだ。コロナ禍による社会変容やSDGsが提示されたことで、会社の軸となり、方向性を決める「パーパス」の重要度はいっそう高まっている。『パーパス・ドリブンな組織のつくり方』(共著/日本能率協会マネジメントセンター)を刊行したアイディール・リーダーズ株式会社の後藤照典氏(COO)は、パーパス・ドリブンな組織となることでエンゲージメントの向上や自律型人材育成、ダイバーシティの実現などにおいて大きなメリットがあると語る。いま、なぜ、「パーパス」が求められているのか、そして、その効果について聞いた。(構成・文/佐藤智 レゾンクリエイト)

“パーパス・ドリブンな経営”とはいったい何か?

 現在、ビジネス界では「パーパス」が注目を集めている。パーパスとは何か、そして、なぜ、パーパスが求められるようになっているのだろう? 後藤照典さんがCOOを務めるアイディール・リーダーズ株式会社は、クライアント企業の真の存在意義の明確化と、その実現をサポートするコンサルティングサービスである「パーパス・マネジメント・コンサルティング」を行なっている。後藤さんは、企業でパーパスが求められるようになった背景は複数あると語る。

後藤 パーパスは、「独自の価値」と「社会的意義」から成ります。両者の重なりから、「この組織は何のために存在するか?」という経営の軸となるものだと言えます。

 VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)という言葉を耳にすることが増えましたが、社会やビジネスにおいて未来を予測することが難しい時代となりました。特に、コロナ禍の2年間を経験した私たちは予測不可能な事態が起こりうることを痛感したはずです。5年前に立てた中長期計画が何の意味も果たさない現実。また、社会課題解決のためのSDGsが提示され、企業も個人もその実現に向けて進んでいきます。パーパスは、混沌とした社会の中で、多様化する価値観を束ね、「組織において一貫性のある戦略が描かれ、一体感が生み出せる」というメリットがあるのです。

自律型人材の育成につながる“パーパス・ドリブンな組織”の作り方

後藤照典(ごとうあきのり)

アイディール・リーダーズ株式会社 COO

東京大学教育学部卒業。グロービス経営大学院修了(MBA)。グロービスマネジメントスクール講師。株式会社ベネッセコーポレーションに新卒で入社後、商品企画、販売・マーケティング、組織風土変革プロジェクト、人事などに携わる。企業に勤める傍ら、CTN岸英光氏の下にてコーチ・講師のトレーニングを受ける。その後、「日本企業にパラダイムシフトを起こす」という志から、アイディール・リーダーズ株式会社に入社。業界を問わず、経営者・リーダー向けのエグゼクティブ・コーチング、ビジョン・パーパスの策定から実装に向けてのコンサルティング、1on1トレーニングなどの実績多数。共著に、『パーパス・ドリブンな組織のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。