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児童手当が今日から削減!今できる3つの秘策とは?Photo: Adobe Stock

児童手当の受給額を増やすことも可能

 児童手当の特例給付の対象者が2022年10月1日明日から削減されます。児童手当とは、子育て世帯を支援するための手当です。「控除から手当へ」という当時の民主党政権の号令のもとで、年少扶養親族(~15歳)の扶養控除(38万円)が10年前に廃止されたこととワンセットでした(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/047a.htm)。

 児童手当はこのように、あくまでも子育て支援であって、低所得者の救済策ではありません。その意味で、今回の児童手当法の改正には違和感が残ります。

 とはいえ、「悪法もまた法なり」といいますので、違和感があっても従わなければなりません。そこで、影響を最小限に抑えるために、対応策を駆使していきましょう。

 今回ターゲットになったのは高所得者ですが、中所得者にとっても対応策は必須です。なぜなら、5000円/月の特例給付にとどまる中所得者でも、本則給付の1万円~1万5000円/月をもらえる可能性があるからです。

 また、それ以外の皆さんも、決して安泰ではありません。なぜなら、収入が増えたらもらえなくなるからです。しかも、このような法改正は段階的に拡大されるのが世の常なので、この先ずっと毎年もらえるとも限りません。

児童手当をもらい続ける3つの秘策

 今回の改正については、「年収1200万円」という数字が独り歩きしていますが、年収の額面は関係ありません。年収ではなく、扶養親族の構成と所得金額をもとに判定されるからです。

 たとえば、夫と妻と子どもの3人家族の場合、所得が698万円未満であれば1万円~1万5000円/月の本則給付をもらえます(ただし、配偶者は年収103万円以下の場合のみ。以下同様)。

 また、所得が698万円以上934万円未満であれば、5000円/月の特例給付をもらえます。そして、所得が934万円以上の場合には、今回の改正により、給付が受けられなくなりました。

 そこでまずはご自身の家族構成をもとに、5000円の特例給付をもらえる所得上限限度額と、1万円~1万5000円の本則給付をもらえる所得制限限度額を確認しておきましょう(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)。

 では具体的に、どうすればいいのでしょうか。対策は次のとおり3つありますが、3つとも実践するのが一番効果的です。

1.年末調整と確定申告にて、もらさず控除を申告して所得を圧縮する
2.iDeCo(個人型確定拠出年金)を使って所得控除額を増やす
3.所得を家族に分散して、見かけ上の所得を減らす

 順に見ていきましょう。

もらさず控除を申告して所得を圧縮する

 サラリーマンは年末調整にて、保険料控除や住宅ローン控除(2年目以降)などを申告します。この作業はお決まりのルーティンですので、もれのないように控除証明書などを今から確認しておきましょう。

 これに対して、災害や盗難などの損害雑損控除、病院代や医薬品代などの医療費控除、初年度の住宅ローン控除については、年末調整できません。

 そこで、これらについては忘れずに確定申告を行いましょう。やり方がわからなくても、税務署の相談員は親切なので、手取り足取り教えてくださいます。3月15日の申告期限を過ぎても「期限後申告」として受け付けてもらえます。

 なお、確定申告の控除額を増やすために保険に加入したり、医薬品を多く買ったりすると、かえって持ち出しが増えますので、無理は禁物です。

iDeCoを使って所得控除額を増やす

 所得控除額を最も効果的に増やせるのがiDeCoです。iDeCoは年金型の資産運用ですが、iDeCoの最大のメリットは、所得控除額を増やせることです。掛金全額が所得控除の対象です。掛金上限が一番低い公務員でさえ年額14万4000円も所得を減らせるので、その効果は絶大といえます。人によっては最大で年額81万6000円も積み立てられるので、その場合には所得を81万6000円も圧縮できます。

 たとえば、夫と妻と子どもの3人家族の場合で見てみましょう。夫の所得が940万円であれば、上限限度額オーバーにて5000円/月の特例給付をもらえなくなりました。ところが、iDeCoを年間14万4000円積み立てれば所得が減ったことになるので、5000円/月の特例給付をもらえるようになります。同じように、夫の所得が700万円であれば、1万円~1万5000円の本則給付をもらえませんが、iDeCoを年間14万4000円積み立てるだけで、もらえるようになるのです。

 しかも、iDeCoを使った所得控除で期待できるメリットは、児童手当だけではありません。所得税や住民税も下がりますし、健康保険など社会保険の保険料も下がるのです。

 iDeCoはこのように、毎月少しずつ積み立てるだけで、あらゆる方面にプラスの波及効果が及ぶので、ぜひ目一杯に活用してください。

所得を家族に分散して、見かけ上の所得を減らす

 意外と灯台下暗しなのが、家族に所得分散する裏技です。たとえば先ほどの3人家族の場合、夫の所得が940万円であれば、5000円/月の特例給付をもらえませんでした。ところが、夫と妻の所得がともに900万円で、世帯所得が1800万円の場合にはもらえるのです。

 児童手当はこのように、稼ぎ頭一人に所得が集中するともらえなくなり、家族で分散するともらえる仕組みになっています。

 児童手当だけではありません。所得を分散すると、所得税も住民税も社会保険料も劇的に安くなります。

 そこでもし可能であれば、家族の中で所得を分散しましょう。具体的には、本業の所得のほかに副業などの所得がある場合には、その副業を妻やご両親など身内の家族に代わってもらい、家族の所得にしてください。

今回影響を受けない人も、将来に備えて準備しよう

 今回影響がない人でも、将来、収入が増えれば、児童手当がもらえなくなります。あるいは、将来、対象範囲が狭められる可能性もあります。そこで、転ばぬ先の杖として、今のうちから準備をしておきましょう。具体的には、稼ぎ口二刀流を応用して、所得を分散してください。稼ぎ口二刀流とは、本業以外に2つ目の稼ぎ口を作るメソッドです。

 サラリーマンの大半は専業サラリーマンなので稼ぎ口一刀流です。そのため、収入を増やすために、本業での昇給・昇格を目指します。ところが、どんなに昇給・昇格しても、増えた収入の6割は税金と社会保険料として持っていかれますし、出費も増えるので残りの4割も手許には残りません。おまけに児童手当や残業手当などがもらえなくなってしまうので、むしろ家計は苦しくなります。

 これに対して稼ぎ口二刀流では、収入が増えても税金や社会保険料はほぼ据え置きなので、手取りが増えて手許にお金が残ります。しかも、児童手当や残業手当などについても、今まで通りもらい続けられるので、一石二鳥です。

 もともと日本人は世界一器用な民族なので、稼ぎ口二刀流に向いています(「大谷翔平選手の二刀流に学ぶ日本人らしい稼ぎ方」)。政府も裁判所も厚生労働省も国税庁も応援してくれますので、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。