物価上昇で購買力が低下、金利は上昇し、リセッション(景気後退)を懸念する企業は一段と増えている。そんな中、米国の貧困層と労働者階級はもちこたえているばかりか、富裕層よりもうまくやっているようだ。1980年代以降、米国を特徴づけてきた所得と富の格差拡大という点から見れば、これは驚くべき展開だ。新型コロナウイルス禍が深く根付いた経済パターンにどれだけ変化を与えているかを物語っている。こうした傾向が続けば――あくまでも仮定の話だが――長期的な影響をもたらす可能性がある。リセッションは大半の人にとって有害だが、とりわけ貧困層と労働者階級が打撃を受けやすい。景気悪化を乗り切るための金融資産もなく、往々にして真っ先に解雇され、最後に再就職する貧困層は、なんとか元の生活を取り戻すのに何年もかかることが多い。