いわゆる不安状態や、うつ状態になってくるのです。

 うつ状態の治療法はさまざまですが、薬を使う場合は、おもに脳内でこのセロトニンの量を増やす方法が選ばれます。正確に言えば、シナプスと呼ばれる神経細胞の接続部分で、セロトニン濃度を増やすのです。

 ただ、たとえセロトニン濃度が増えても、うつ状態が改善されるまでには2週間ほどのタイムラグがあります。うつ状態は症状が進むほど、治療にも時間がかかるのです。

 そうなってしまう前に心がけてほしいのが、70歳からの「若さの秘訣」を知り、実行することです。具体的には、「太陽の光を浴びる」。

 太陽の光が、脳内のセロトニンを増やしてくれるからです。

「太陽の光」のパワーが
心も体も元気にする

 私たち精神科医が、うつ病の人に「なるべく外に出てください」とアドバイスするのも、太陽の光を浴びることができるからです。たとえ、外に出ることで体が疲れても、心の疲れは軽くなります。悩みや不安が小さくなれば、体の疲労感はむしろ気持ちのいい睡眠や食欲を促してくれます。

 結果として、心も体も元気になるのです。

「太陽の光を浴びる」効果と言っても、ピンと来ない人もいるかもしれません。

 それだけ、いまの60代、70代が、外出しなくなったということなのでしょう。とくにコロナ禍になってからは、あまり外に出ないので、「太陽の光」のパワーに気づいていないのです。

 一般的に、日本人はアメリカやヨーロッパの人々に比べて、明るい屋内照明の中で暮らしています。書斎で本を読んでいて「暗いな」と感じることはないでしょうし、食堂で晩ご飯を食べていても「暗いな」と感じることもありません。

 ただ、アメリカやヨーロッパの屋内照明は、日本人なら「暗いな」と感じることはあるはずです。