人が集い、交わり、イノベーションが生まれていく

 サンスターコミュニケーションパークの芝生広場は、散歩や休憩をするのに程よい空間で、歯ブラシをイメージしたベンチや歯の形状を模したイスの設置といった遊び心も垣間見えた。また、この芝生広場を見守るように建つオフィスビルの外観には、建築デザイナーのこだわりがあるという。

「東側からは茶色い建物に見え、西側からは白い建物に見える造りになっています。清潔さの白とアースカラーの茶色です」(井上さん)

 天気が良く、まるで、第三者の来訪を待ちわびるかのように、建物の白色と茶色に芝の緑色が鮮やかに映えていた。

 敷地を一般開放すれば、当然、企業側は安全管理に注力せざるを得ないだろう。それでも、「近隣に住む人とコミュニケーションを取っていくことがパークの役割のひとつ」と井上さんが明言するとおり、地域住民と交流を深めていくことを、サンスターコミュニケーションパークは存在意義のひとつにしている。『常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する』という社是を重んじ、生活者とのコミュニケーションをきっかけに、社会にとって価値ある商品を生み出すことを目指しているからだ。

 施設見学後に、広告コミュニケーション部長の梶山浩司郎さんは次のように語ってくれた。

「“口腔の健康は全身の健康につながっている”こと、そして、口腔の健康が健康寿命の延伸の基礎であることを、国民のみなさんに寄り添いつつ、その意識と行動の変容を促していけるように私たちは事業活動を行っています。将来、地域のお客様や住民の方々と(サンスター)コミュニケーションパークでお会いすることで、私たちが開発した商品にご満足いただけているかをリアルに把握していきたいです」

 ワーク・エンゲージメントは、「働きやすさ」と「働きがい」によって高められる。環境面での「働きやすさ」を追求したサンスターコミュニケーションパークでは、サンスターの多くの社員がそのことを実感しているにちがいない。そして、働く環境の良さに加え、今後は、生活者とのコミュニケーションによって、「働きがい」も得ていくのだろう。

 人事部は、そうした社員のさらなる「働きがい」の向上のために、キャリア形成の支援を行っていくという。

「(サンスター)コミュニケーションパークで働きやすい環境が整ったいま、『サンスター人の行動規範・8精神*3 』にある“自己研鑽につとめ知性と教養を高める”こと、“進取の気風をもち、創造力を養う”ことが大切だと思います。社員のみんながどれだけやる気になって、進取の気風とともに新しい商品を創っていくか……当社には、そのためのソースもブランドも技術力もあります。そこで、人事部は、社員のみんなが率先して勉強できる学習インフラをつくり、就きたいポジションに向かって、必要なスキルや経験を得られるように尽力していきます」(中村さん)

*3 サンスター人の行動規範・8精神 •使命感と勇気をもって行動する •姿を正し、言葉を正し、心を正す •自己研鑽につとめ知性と教養を高める •進取の気風をもち、創造力を養う •協調、協和により総合力を発揮する •信頼し、信頼される人になる •心と体の健康を増進する •感謝の気持ちをもち、人の恩に報いる(サンスターホームページより)

 コロナ禍でコミュニケーションの希薄化が危ぶまれるなか、人が集い、交わり、イノベーションが生まれ、社会とつながる施設(パーク)とともに社員と組織が成長していく――そんな“リアル空間としてのオフィス”の在り方を、サンスターコミュニケーションパークは私たちに伝え続けてくれるだろう。