ウィズコロナで価値を高める新横浜の“大型研修施設”――その魅力を探る

2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症の拡大で、企業・団体の新入社員・管理職をはじめとした従業員向け研修もオンラインが主流になりつつある。人と人がリアルな空間で対面しづらい時代に、企業が持つ大型研修施設はどうなっているのだろう。グループ売り上げ11兆448億円(2021年2月期)、約13万5000人の従業員(グループ連結)が就労するセブン&アイグループ――その伊藤研修センターを訪ね、高木剛センター長に話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/HRオンライン)

40万人以上の従業員が利用してきた研修施設

「成長力の源泉は人財」と謳い、コンビニエンスストア・総合スーパー・食品スーパー・百貨店といった小売業で、世界17の国と地域で約7万4000店舗(2020年12月末現在)を展開するセブン&アイグループ。株式会社セブン&アイ・ホールディングス は昨年2020年8月にグループの能力開発・人財育成を推進する「人財共育部」を新設するなど、グループ従業員の成長をよりいっそう促している。そうしたなか、人財育成の拠点となっているのが伊藤研修センターだ。2012年に建造され、これまでにのべ40万人以上の従業員が利用したという。まず、高木剛センター長に施設開設に至る経緯を聞いた。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 本社:東京都千代田区 代表取締役社長:井阪隆一 設立:2005年(平成17年)9月1日

高木 もともと、イトーヨーカ堂では、首都圏において、東京の多摩と千葉の松戸に研修センターがありました。千葉の方が老朽化していた事情があったことと、創業家から、「創業理念伝承と人財育成のために使っていただきたい」とご寄付をいただいたことから、この新横浜の地に研修センターを新たに創ることになりました。私自身は、建設に至る企画段階から携わらせていただき、いま、当センターは、ホールディングスの人財共育部と連携しながら業務を行っています。

ウィズコロナで価値を高める新横浜の“大型研修施設”――その魅力を探る写真提供:株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
伊藤研修センター

神奈川県横浜市港北区新横浜2-19-1
● JR新横浜駅 北口より 徒歩約7分
● 横浜市営地下鉄 新横浜駅 出入口4より 徒歩約7分
セブン&アイグループの創業者である伊藤雅俊名誉会長とご一族からの寄付により2012年に設立。史料室・研修室・技能室ほか、宿泊室、レストランなどの各種施設から成る。
【建物概要】敷地面積:3,623m2(1096坪)、延床面積:1万60m2(3043坪)、建築面積:2765m2(836坪)、階数:地上4階建
 

 新横浜駅(北口)から徒歩7分の立地は、新幹線の利用などで関西方面からも不便がなく、羽田空港からも新横浜までの直通バスを介して来館することができる。全国各地で就労しているグループ内の従業員たちは、この施設を「研修」の場としてどのように利用しているのだろう。

高木 ここで行われる研修には、グループ横断(=ホールディングス)で行うものとグループ企業それぞれが行うものがあります。後者は、グループ各社に教育部門や人事部門があり、そこに専任の教育スタッフもいますので、各社の事業に紐付いた研修が独自に行われ、それぞれの事業に適した人材育成を行っています。一方、グループ内企業の横断で行うような、ホールディングス主体のものは、たとえば、新入社員への創業理念研修、グループの経営戦略に基づく研修などですが、今後、事業会社の枠を超えた能力開発・人財育成をさらに推進するために、グループ各社や人財共育部と連携して企画する研修も増えていくでしょう。

ウィズコロナで価値を高める新横浜の“大型研修施設”――その魅力を探る【研修室】
セブン&アイグループで実施されるさまざまな研修のスタイルに合わせて、伊藤研修センターには個性豊かな研修室が用意されている。収容人数8名のディスカッションルームから100名規模の大研修室まで全22室。コロナ感染対策を考慮した新しい研修室のほか、オンライン対応の研修用機材やタブレット端末も備え、「学ぶ」ための好環境を整えている。大研修室と中研修室が連結することで、最大464名まで収容可能。コロナ禍の現在は、1日30名ほどのリモートワーク利用者も受け入れている。「リモートワークの使用場所も私たちがしっかり管理し、念入りな消毒とともに、今日はこの部屋、明日はこの部屋、Zoomミーティングで使用する場合は声を大きくしても大丈夫なこの部屋…といったように、適切に振り分けています」(高木センター長談)
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