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国際通貨基金(IMF)が、「2023年までに世界の3分の1が景気後退に陥る」と発表した。世界経済を下支えする米国の雇用や個人消費が後退する傾向にあり、中国の経済成長神話は崩壊。欧州はウクライナ戦争によるエネルギー危機に加えて大手金融クレディ・スイスの経営不安が高まっている。自動車を中心に海外の需要を取り込んできた日本経済の実力は低下し、これまで以上に国内経済が縮小均衡する懸念が高まっている。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

いよいよ米国の労働市場や個人消費が減退へ

 国際通貨基金(IMF)は、2023年までに世界の3分の1が景気後退(実質GDP成長率が2四半期続けて前期比でマイナス)に陥るとの予想を発表した。世界経済を支えてきた米国経済は、“定義上”の景気後退に入った。加えて、足元では急激な物価上昇によりユーロ圏を含めた欧州の景気後退リスクも急上昇している。米国とユーロ圏を合わせると世界のGDPの39%程度を占める(IMFデータに基づく)。世界第2国でも本格的な景気後退のリスクは上昇している。

 そうした懸念が高まる中、今のところ世界経済は何とか相応の安定を保っている。それは、米国経済、特に労働市場が過熱気味に推移し個人消費が底堅さを維持しているからだ。

 しかし、9月の米雇用統計などを見ると、労働市場の改善ペースは鈍化し始めた。米国の連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め強化によって労働市場の悪化は鮮明化し、個人消費は減少するだろう。

 言い換えれば、FRBはインフレを鎮静化するために労働市場の過熱感を抑え、需要をそがなければならない。世界経済は下支えを失い、GDPで見た場合に3分の1以上の国と地域が景気後退に陥るリスクが高まるものと考えられる。それに伴い、わが国経済が一段と厳しい状況に直面するだろう。