お金や年齢を気にして何かを諦めることはあるか?

──実は、私の母がちょうど野沢さんと同じ歳なんです。それで、仕事で新しい業界・新しい職種に挑戦したいという気持ちはあるけど、やっぱり「今さらチャレンジして失敗したら……」という不安もあるみたいで。野沢さんは、お金や年齢を気にして何かを諦めることはありますか?

野沢:そうですねえ。自分でも、おいおい大丈夫かよとよく思うんですけど、貯金が全然なくて(笑)。

【今さら遅い…】年齢を気にしてやる気がでない「アダルト挫折」を乗り越える方法野沢直子(のざわ・なおこ)
1963年東京都生まれ。高校時代にテレビデビュー。叔父、野沢那智の仲介で吉本興業に入社。91年、芸能活動休止を宣言し、単身渡米した。米国で、バンド活動、ショートフィルム制作を行う。2000年以降、米国のアンダーグラウンドなフィルムフェスティバルに参加。ニューヨークアンダーグラウンドフィルムフェスティバル他多くのフェスティバルで上映を果たす。バラエティ番組出演、米国と日本でのバンド活動を続けている。現在米国在住で、年に1~2度日本に帰国してテレビや劇場で活躍している。著書に、『半月の夜』(KADOKAWA)、『アップリケ』(ヨシモトブックス)、『笑うお葬式』(文藝春秋)がある。

──本当ですか。

野沢:ほんとに、ほんとに(笑)。ネットで「老後の貯金」と検索して焦ったりもするんだけど、父が亡くなったときにかかった費用と、あとは子どもたちのこととかで、結局いま、いちばんお金がない時期かもしれません。もっと危機感を持たなきゃいけないとは思ってるんですけど、「どうにかなるんじゃない」ってずっと思ってて(笑)。笑ってる場合じゃないんですけど。

──「貯金ないし、失敗したらどうやって生活しよう」とか、「この年齢でチャレンジしても今さら遅い」とか、考えることはありませんか。

野沢:そうですね、あんまりいい加減なことは言いたくないんですけど、私は、やりたいと思ったことをやらないままにしておきたくないタイプなんです。

 もちろん、不安材料はあると思うんだけど、それはいくつになっても同じなんですよ。絶対になくならないんです。不安材料って、20代でも50代でも、たぶんこれから先も、ずっと変わらずにある

──たしかに。

野沢:だから、私は、不安材料を理由にやらないことを決めてそのまま死んでいっちゃうパターンと、やってみて失敗して「あー、失敗しちゃった」ってなるパターンだとどっちがいいか、よく考えるようにしています。

 そのとき、いつも思うのは、「失敗した場合のリスクもある。『やっぱりチャレンジしなきゃよかった』みたいな後悔は、たしかに生まれるかもしれない。でも、『成功するかもしれない』ってドキドキしながら過ごす数年も、すごく幸せな時間じゃないか。だったら、やった方がいい」ってことなんですよ。