節約しているGさんだが
支出はやや多め?

 Gさんは日本に帰国後、月間支出を20万円(年間支出を240万円)に抑える予定です。その一方で、語学力を生かした副業を始めてさらに収入を増やすか、ボランティアやジョギングなどを楽しむか迷っています。

 このどちらが適切なのかを考える上で、Gさんに知っておいていただきたいのは、高齢単身世帯の月額平均支出額が「16万円程度」だということです。

 帰国時のGさんは、まだ高齢とは言い難いことから参考にならないかもしれませんが、月間20万円の支出が長年にわたって続く場合、平均より出費が多く、かつ年金受給額が少なくなることは事実です。

 副業を始めるか否かはGさん次第ですが、老後の生活を安定させる上では、それなりの収入を得る必要があるといえます。

 とはいえ、長年の海外生活から帰国してすぐに生活スタイルを変えるのは難しいでしょう。暮らす国と働く会社の両方が変わるのは、かなり心身に負担がかかると考えられます。

 環境への適応で疲れてしまい、自炊などに手が回らなくなり、逆に支出が多くなる可能性も否定できません。

 そうした現実的なリスクも考慮して、帰国後の支出額を、60歳から65歳までは毎月24万円(年間288万円)、65歳から70歳までは毎月22万円(年間264万円)、70歳以降は毎月20万円(年間240万円)として試算を進めます。

 ここで念のためご説明しておくと、Gさんは帰国後もフルタイムで働く予定ですので、社会保険と厚生年金に加入する可能性が高いです。

 この場合、健康保険料や国民年金の保険料をGさん自身が収入から負担する必要はありません。また、厚生年金への加入によって、老後の年金受給額もわずかに増加するでしょう。