そこで、Gさんが老後の生活をさらに安定させるため、仕事の引退時期を遅らせるパターンの試算も簡単に進めておくことにしましょう。

 Gさんの相談文からは、仕事がお好きな印象を強く受けました。70歳でリタイアするイメージがあまり見えてこなかったので、この試算もあながち間違いではないかもしれません。

 この試算では、Gさんが得意の語学を生かして、70歳以降に月5万円(年間60万円)ほど稼ぐとします(便宜上、年金の受給開始時期は70歳のままとします)。

 すると、年間の収入が162万2400円(102万2400円+60万円)、支出が250万円となり、年間赤字額は87万7600円まで縮小します。

 理論上は50.8年(Gさんが120歳頃)にわたって金融資産が持つので、老後の生活の安心度はさらに増します。

 実際は「生涯現役」は難しいかもしれませんが、70歳以降も月5万円程度の仕事を可能な範囲で続けると、余裕が出てくることは押さえておきましょう。

老後の生活を安定させるには
帰国後の仕事探しが肝心

 70歳以降の収入が5万円よりも多い場合は、もう少し支出額を増やして、Gさんの相談文にあった「人生を楽しむ」ことに投資するのもいいでしょう。

 とはいえ、年を重ねるほど体力的につらくなり、無理もきかなくなるので、お仕事や趣味を続ける場合は体調を最優先にしてもらえればと思います。

 今回は、一般企業における定年に近い年齢で転職先を探すことから、60歳~70歳の年収を350万円と厳しく見積もって試算しました。

 この10年間の収入が試算よりも多ければ多いほど、老後の生活をより豊かにできます。また、70歳以降の仕事もセーブできるはずです。

 そのため、Gさんが老後の生活を安定させたい場合は、帰国後の仕事探しが肝心です。そして、少なくとも60歳から70歳までの10年間は仕事を頑張って、貯金を積み増すことが重要だと覚えておいてください。