JA共済連の会長の地元農協が
ワースト1位は偶然ではない
農協職員へのアンケート結果を基に、自爆営業の平均額や期間、ノルマを課された職員の範囲などを総合評価して作成した、「JA共済“自爆営業”農協ランキング」のワースト1位は、JA晴れの国岡山だった。奇しくも農協の共済事業の大元締めである、JA共済連の現会長である青江伯夫氏の地元の農協だ。
JAグループでは、JA共済連など全国組織の会長を地域の農協幹部らが兼務する。そして、全国組織のトップを輩出した地域の農協は、その全国組織が課すノルマ推進に一層力を入れなければならない不文律がある。つまり、農協の組合長が全国組織で栄達するのは、地元の職員にとってはいい迷惑なのである。
ワースト1位になったJA晴れの国岡山の特徴は、金融の渉外担当者だけでなく、営農指導員など保険の専門知識を持たない職員にまでノルマを課していることだ。
JA晴れの国岡山には特有の問題がある。合併前の旧農協によって、金融の渉外担当者「以外」の職員が課される共済のノルマに隔たりがあるのだ。
職員の採用は旧農協ごとに行なわれているため、職員の中には「自分には共済のノルマがあるのに、同期入社で同部門でも共済のノルマがない職員もいる」という不公平感を抱いている。
そうした不満もあり「金融部門以外にも共済のノルマを課す旧農協(旧JA岡山西)の若手職員の離職率が50%にはね上がり、ノルマを課さない旧農協の離職率10~20%を大幅に上っている。しかも、こうした人事の大問題が放置されている」(ある中堅幹部職員)という。
若手職員による離職問題は深刻だ。
JA晴れの国岡山の総代会(企業の株主総会に当たる)で、出席者から「共済のノルマが多いから職員が辞めているのではないか?」という質問が出たことがある。だが、経営陣は「それが原因で辞めた職員はいるかもしれない。だが、頑張りよるやつは残るし、できんやつは残らない」などと回答し、問題と真摯に向き合う姿勢は示されなかったという。