世界経済が再び試練に立たされている。だが、今回は冷戦後の危機から各国を脱却へと導いてきた国際的な連携の機運は全く見られない。それどころか、世界の大国は互いを陥れることを狙っており、経済に深刻な打撃が及びかねないと危ぶまれている。「ここまで経済を武器として振りかざす潮流は、おそらく過去数十年なかったことだ」。ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長はこう指摘する。「20カ国・地域(G20)が積極的に他国に打撃を与えようとしている。これは異なる世界だ」欧州はエネルギー価格高騰という逆風を受け、すでにリセッション(景気後退)入りしている可能性があると指摘されている。ロシアが天然ガス供給を断ったことに加え、欧州諸国によるロシア産原油の輸入禁止措置の導入が迫っているためだ。これに加え、欧州中央銀行(ECB)は27日、インフレ退治に向けて0.75ポイントの大幅利上げを実施。さらに成長を下押しする可能性が高い。クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は「ロシアによる不当なウクライナ侵攻」に触れ、成長が著しく減速する中でも、インフレはなお高すぎる水準にあるとの認識を示した。