米連邦準備制度理事会(FRB)は賃金の上昇により高インフレ環境が経済に定着しかねないと警戒している。当局者にとって悩ましいのは、そのリスクが実際はどの程度かということだ。FRBは今週開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ポイントの利上げを決めることがほぼ確実とみられており、市場の焦点はすでに「その次」にシフトしている。もっとも、インフレはなお過熱状態が続いている。FRBが注目するインフレ指標は9月に前年同月比6.2%上昇。7月の7%からは伸びが鈍化したものの、FRBや民間エコノミストの想定ほど下がっていない。そのため、FRBは景気をさらに冷やそうとブレーキを踏み続けるだろう。一方FRBはすでに、短期間でかなり急ピッチの利上げを進めてきた。11月2日にはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の中央値が3月の0.125%から3.875%に切り上がる見通しだ。利上げによる影響が実体経済に波及するには時間差があることに加え、物価が一部で落ち着きつつある兆候も積み上がっており、FRBは利上げペースの減速が望ましいと考えるかもしれない。12月のFOMCでは再び0.75ポイント利上げすべきか、あるいはより小幅に0.50ポイント利上げすべきかが論点になると、ジェローム・パウエル議長が示唆することもあり得る。
FRBを悩ませる雇用市場の謎
賃金がインフレ率を押し上げているのか、その逆なのか?
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