住宅取得資金「贈与の特例」で
夫婦で2000万円まで非課税に

 住宅ローンの次は、「親からの贈与」を最大限使うべきだ。自宅購入に際して、親からの贈与は1000万円まで贈与税が非課税になる。夫婦それぞれの両親となると、その倍の2000万円が非課税となる。

 親に資産やキャッシュがあるか分からない場合、ダメ元で相談してみてほしい。例えば、「マイホームを購入しようと思うのだけど、1000万円まで贈与が非課税になるので、相談させてほしい」と切り出してみるのだ。

 現実的な話をすると、親はいつか亡くなり、子どもに資産を相続することになる。この際、多額の相続税がかかることを考慮して、贈与税が非課税になる住宅にお金を出す気になる親は多い。

 もし両親が30歳前後で子どもを産み、90歳頃に亡くなると仮定すると、相続が発生するのは子どもが60歳前後になる。

 60歳が近づいた子どもは、仕事では定年間近で、その子ども(孫)もすっかり成長しているだろう。新しく家を買ったり、教育資金に充てたりするには遅すぎる。だからこそ、親は「子どもが若いうちに家を買ってあげたい」という心境になるのだ。

 金額的に、非課税の対象になる1000万円を超えて「もっと出してもいい」という親もいるだろう。その場合は、住宅資金として借り入れをした形を取るといい。

 親子間で借用書を交わし、借りたお金で物件の代金の一部を支払うのだ。金利は普通預金ほどでいいので、ほぼゼロだ。

 その返済は、実際には行わなくていい。というのも、「暦年贈与」と呼ばれる毎年の贈与は110万円まで無税になる。借用書上は毎年の返済額を110万円とし、その額を贈与してもらう形で相殺すればいいのだ。

 一般的な住宅ローン期間に合わせて35年で返済する場合、子どもは計3850万円(110万円×35年)を非課税で受け取れる。これを両方の親から行うと、7700万円の増額に成功したことになる。

 この金額はあくまで目安なので、親の資金に余裕がある場合は借りられるだけ借りてみよう。もし相続が発生した際は、借入残高が相続財産の一部になるだけなので、贈与税率の方が相続税率より高い現在、残高を無理に減らす必要はない。