「社用スマホの電源を休日に切る」は
業務命令違反になるのか
翌日出勤したAは、B課長から呼び出しを受け、「昨日の態度はけしからん! 会社のスマホの電源は切るなと言ったのに守らないとは、業務命令違反だ」などと厳しい叱責を受けた。
我慢ができなくなったAは、B課長が立ち去ったあとでC営業部長のところに行き、「B課長は勤務時間中だけではなく、プライベートな時間中でも関係なくチャットで業務指導をしています。メンバーがすぐに応じないと『業務命令違反だ』と叱りつけます。これでは仕事から解放されません。どうにかしていただけませんか?」と訴えた。
しかし自分の業務で忙しかったC営業部長は、Aの話をまともに聞かずに追い返した。C営業部長に無視されたAは、
「今日はこのままでは済まさないぞ」
と心に決め、総務部のフロアへ向かった。そしてD総務部長に、B課長が今まで行った部下への指導について洗いざらいぶちまけ、
「もしD総務部長も無視するのなら、これから労働基準監督署に行き、今と同じことを話し、どうしたらいいか相談してきます」
と言い放った。驚いたD総務部長はAをなだめ、「まずは状況確認をさせてほしい」と言った。
Aが退席したのと入れ違いに、D総務部長と面談の約束をしていたE社労士が現れた。
「約束の時間より早く来てしまったので応接室で待っていましたが、今の話が聞こえてしまいました。大変なことになりましたね」