トイレに「毎日2時間こもる」社員、クビだと怒る社長への社労士の助言は?勤務時間中、すぐにトイレに行ってなかなか出てこない社員。困った“おこもり社員”にどう対応すべきか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

勤務時間中なのに、すぐに席からいなくなる社員。どうやらトイレにこもってなかなか出てこない様子で、周りは扱いに困っています。しかも男性用トイレの個室は少ないし、誰かに占領されてしまうのも困りもの。社長は「そんな社員はクビ!」と言いますが、果たしてそんなことは可能なのか?“おこもり社員”にどう対応すべきか、法律に基づいて解説します。(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
従業員数100名のシステム管理会社。ほとんどが内勤業務
<登場人物>
A:甲社総務部長(以下「A部長」)。40歳
B:管理課長(以下「B課長」)でCの上司。35歳
C:今年6月に中途入社した28歳。7月から管理課勤務
D:甲社の社長。50歳
E:甲社の顧問社労士

今年中途入社した社員が、すぐに姿を消してしまう

「A部長、ちょっといいですか?」

 7月下旬。自席でPC作業をしていたA部長は、B課長に声を掛けられて顔を上げた。

「実は相談したいことがあります」
「相談?何だろう」
「新入社員でウチの課に配属されたCさんですが、扱いに困っています」

 A部長がさらに詳しい内容を尋ねると、B課長はうんざりした顔をして言った。

「業務内容のレクチャーをしようとしても、いつも離席していて。部署内を探しても見当たらないので、ある時他のメンバーにCさんの居場所を尋ねたところ、トイレにこもっていると言うんです」