本書の要点

(1)部下が上司に最も期待することは「一人ひとりに耳を傾けること」である。「正解は部下」を前提に、教わるスタンスで部下に尋ねるようにしたい。
(2)部下に本音を話してもらうには、「あるとすれば」という「as・ifクエスチョン」を使って、部下の声にならない声に関心を寄せることが有効だ。
(3)聞き上手は「ロジャーズの3原則」を満たす。まずは適当に聞いて、良好な関係を築こう。
(4)上司が部下にフィードバックをする際は、納得作りのために聞き役に徹してから気づきを与える質問をするという順番が重要となる。

要約本文

◆これからの時代に求められる「聞いてくれるリーダー」
◇この10年で変わった「上司への期待」

 上司に力強さはいらないと言われる時代において、部下は上司に何を期待しているのだろうか。

 リクルートマネージメントソリューションズ社の「2021年 新入社員意識調査」によると、この10年で上司に期待することが大きく変わっているという。トップ2は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」である。しかも、これら2つはこの10年で大きく数字を伸ばしている。

 次に、この10年でランキングを大きく落としている要素は何だろうか。それは「言うべきことは言い、厳しく指導すること」「仕事に情熱を持って取り組むこと」「周囲を引っ張るリーダーシップ」である。もちろん、リーダーに厳しさや力強さが不要になったわけではない。とりわけZ世代は、本当の意味での力強さや厳しさをよく知らないだけだ。彼らの思いに関心を寄せ、話を聞いた上で、しっかりと言うべきことを言う。そのスタンスが重要となる。

 価値観や生活スタイルが多様化する今、あらゆる年代の部下に対して、一人ひとりに耳を傾ける姿勢は欠かせないものとなっている。

◇部下に嫌われる「NG質問」

 上司が聞くことは大事であるが、ダメな聞き方もある。「ダメな聞き方とは、なんだと思いますか?」