まさにこれが、やってはいけない「相手を試す」質問だ。一見そんなに悪い質問ではないように見える。しかし、人によっては自尊心を踏みにじられ、嫌な気分を味わうことになる。

 試す質問をしがちな上司は、あくまで「正解は持論」を前提としている。「どの方法がいいと思う?」と聞き、部下が「この方法です」と回答しても、そんな上司は「誰かに任したら?」などと自身の持論を展開してしまう。このように、「質問→正解/不正解」のスタイルで上から目線で聞く上司は、部下に嫌われてしまう。

 これに対し、教え上手な上司は「正解は部下」が前提だ。「どんな作業で忙しいの?」「そうか。ちなみに何があると解決できそう?」などと、「教わる」スタンスで部下に尋ねる。よかれと思って試す質問をしていないか気を配るようにしたい。

◇理解できない部下は「受け止める」

 部下から次のような発言があったとしよう。「うちのカブトムシが死んだので、今日は休ませてください」

 上司は「こんな理由で休むの?」という思いに駆られるだろうが、無理に相手を理解しなくてもいい。困った部下でも「受け止める」ことができれば距離を縮めることはできる。賛成も反対も意見もせず、ただ「感情を代弁」するのだ。

上司「カブトムシか。どんな背景があるの?」

部下「とてもかわいがっていたんです…」

上司「そうか。悲しいね」

 このように部下の感情を代弁して受け止めると、「この上司はわかってくれている」と感じてもらえる。言いたいことを後回しにして寄り添わないと、聞く耳をもたない部下もいる。まずは相手の感情を代弁するとよい。

【必読ポイント!】
◆部下に合わせた「魔法の声がけ術」
◇本音を話さない部下

 ここからは、さまざまなタイプの部下と対話を深めていくための、より具体的な質問やフレーズを紹介する。