山ほどある学習アプリ
効果や機能の差は?

 だが、学習アプリの種類が豊富でも、利用者にはその差が非常に分かりづらい。特に学校で導入されるものは、使われる現場の状態や環境が大きく異なるため一律に成果の比較ができない。また、結果を出すには時間もかかる。結局、類似アプリとの違いは導入者の利用感覚やデザイン、設問のレベル感、ゲーム性といった嗜好(しこう)性で判断されることが多くなる。

 そんな、どれも同じような宣伝で、情報に違いが見えない中で、少し異なるアプローチで学校の注目を集める学習アプリが「モノグサ」だ。「AIを活用した記憶・定着のためのICTシステム」が売り文句で、覚えたいことをどうやって誰にでもストレスなく記憶させ、さらに定着させるかにこだわった唯一の学習アプリだという。

「モノグサ」は、個人学習用の無料ダウンロード版もあるが、メインはユーザーの環境に適応させたアプリで有効な学習のプラットフォームを提供するサービスだ。学習塾や予備校、学校など、現在は4000以上の教室に導入されている。

 記憶力が良くなる食べ物、運動、サプリメントというのはよく聞くのだが、集団で記憶力を上げるためのトレーニングツール的なアプリなのだろうか? 

 そもそも、子どもの多くは暗記が苦手だから学習に苦労するわけで、それが誰にでも「記憶の定着」ができるとは、一体どういうことなのだろうか? モノグサの代表取締役CEO竹内孝太朗氏の元を訪ねてみた。

記憶力は「才能」ではない
仕組みで解決できる

 竹内氏は「記憶力は才能ではない」と語る。例えば、学校の試験であったり、資格試験であったりと、学習には達成度が評価されるゴールがある。そのゴール目標の達成に必要な「答え」を、記憶として脳にインプットし、さらに消去されないような「記憶定着」の仕組みがあるという。

 その仕組みを機能に取り入れた「モノグサ」を説明するには、多くの先生の持つ「記憶の仕方は、授業で身に付くものではない」という誤解を解くことから始まるそうだ。

 要するに、問題を解かせるプロセスが「モノグサ」と他の学習アプリとの大きな差であると竹内氏は強調する。

 仕組みとしては、利用者の問題正解率からAIが忘却速度を測り、自動で問題が作成される。同じ問題集を使って子どもたちが学んでいても、各人の理解度や進捗状況をAIが把握し、端末で出題される問題の形式や難易度をカスタマイズして変えている。定めたゴールに向かって生成される問題を、スケジュールに合わせて解き続けるだけでインプットされた「答え」が定着し、目標達成ができるようになっているのだ。

記憶力は「才能」ではない、子どもの成績を伸ばす“神アプリ”最前線竹内氏(左)と最高技術責任者(CTO)の畔柳氏(右)。記憶定着というコンセプトを売りにしたモノグサは両氏の知力から誕生した

 竹内氏は「これまで先生は、理解度に差のある生徒に同じ内容の授業で、全体の学力を上げることに難しさを感じてきたと思います。個別最適化が得意な教育アプリを活用すれば、先生の負担が減り、時間的な余裕もできます。その時間で先生にしかできないサポートに集中できるのです」と言う。

 さらに「個々の子どもの理解度は、これまでは先生の経験や感覚値で判断するしかありませんでした。デジタルになると回答率や進捗状況のデータが取れます。モノグサはそこにも注力していて、先生に子どもの理解度や状態が可視化できるようになっています」と、竹内氏は記憶を管理できる機能にも有効性があり、子どもにも教師にも満足度が高くなると付け加えた。