
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、今回は銀行業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#8では、銀行業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで3メガバンクや大手地銀など8金融グループ計41人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
メガバンク幹部がランキングを占めるが
従業員との格差の倍率は穏やかな銀行業界
銀行業界での一般の従業員と経営幹部との年収の格差は、総じて低いということが判明した。
ここまで本特集で紹介してきた業界では従業員と経営幹部の格差が50倍以上になるケースも珍しくない。中には従業員の数百倍を受け取るという幹部もいた。
ところが、銀行業界では年収1億円を受け取る41人の経営幹部のうち2人が30倍を超えるだけなのだ。
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは銀行業界だ。
では、銀行業界での「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収との格差が大きいのは誰なのか?
1~3位は三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の幹部だった。18位までは、メガバンクの幹部が並ぶが、1名だけ地方銀行の幹部が食い込んでいる。
三菱UFJFG、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、スルガ銀行、西日本フィナンシャルホールディングス、しずおかフィナンシャルグループ、三井住友トラストグループといった銀行の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。