「書く=記録」と思いこんでいないか?
「書く=考える」という視点
ここからもわかるとおり、これらのスケッチは、すでに成立しているアイデアを「記録する」ために描かれたものではない。そうではなく、頭のなかにある「まだ輪郭のないモヤモヤ」をスケッチしてみること自体が、考える手段になっているのだ。
曖昧であっても、まとまりがなく断片的であっても、とりあえずは図・絵のかたちで自分の外部に表出する。そうして紙の上に描き出されたスケッチをもう一度、外から客観視するなかで、新しい「発見」を得ていくのである。
実際、プロのデザイナーとデザイン専攻の学生を比較したある研究によれば、プロはいったん自分がアウトプットしたものを当初の意図に縛られることなく、客観的に再解釈する能力に長けているという。
このとき、いきなり箇条書きなどのかたちで言葉にしてしまうと、思考はそれ以上先に進まなくなってしまう。
モヤモヤとした思考を、モヤモヤとした視覚情報にそのまま落とし込むことを意識してみよう。
(※本記事は『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』の本文を抜粋・再編集したものです)