コロナ禍の収束を待たずに。今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7~9月度のホテル編だ。
ホテル各社、需要回復で絶好調の7~9月業績
ホテルの主要3社が発表した7~9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯プリンスホテル(西武HD)の宿泊客数
7月度:前年同月比170.0%(70.0%増)
8月度:同176.8%(76.8%増)
9月度:同215.6%(115.6%増)
◯京王プラザホテル(京王電鉄)の売上高
7月度:前年同月比138.9%(38.9%増)
8月度:同168.7%(68.7%増)
9月度:同167.4%(67.4%増)
◯東急ホテルズ(東急)の店舗売上高
7月度:前年同月比135.9%(35.9%増)
8月度:同159.5%(59.5%増)
9月度:同214.1%(114.1%増)
22年7~9月の業績はいずれも3カ月連続で前年同月比プラス、特に9月はプリンスホテルと東急ホテルズの2社が3桁のプラスとなった。今回取り上げている3社については絶好調の3カ月間だったように見える。
ただし、ホテル業界は新型コロナウイルス禍で最も我慢を強いられた業界の一つといっていい。次のページで詳しく解説するが、コロナ1年目の3社の業績は惨憺(さんたん)たるものだった。
その時点と比較すれば確かに、22年7~9月は大きく回復している。3年ぶりに行動制限のない夏を迎えたことや、水際対策の緩和でインバウンド需要が戻りつつあることなどが追い風になっているからだ。だが、これは「真の回復」なのだろうか。
時系列の数字を確認していくと、この3カ月の業績の見え方が変わってくる。次のページから詳しく「真の回復状況」を見ていこう。