内定辞退の増加で、高まる“内定者フォロー”の価値
“学生と企業のすれ違い”は他にも見られる。インターンシップ類で接触の時期が早まることによって“内定出し”も早まりつつあるが、そのために学生の就活期間が長くなり、大手企業でも内定辞退者が増加しているのだ。
高村 多くの大手企業は公式なスケジュールに則って、6月1日から正式な内定出しを行います。学生は、内定先企業を見極めて最終的に就職先を決めるわけですが、複数の内定を持ちながら、少しでも志望順位の高い企業にアプローチし、10月の内定式前日まで就職活動を続ける学生もいます。結果的に、企業側から見れば、“内定を出しても辞退される割合”が高まっています。例年、多くの企業が「内定の歩留まりが読みにくい」「辞退学生が増加している」ということを採用課題として挙げていますが、23卒においても改善されていません。この傾向は、大手企業でより顕著に表れてきていることが注目されます。中堅・中小企業ではこれまでも内定辞退は多かったのですが、採用競争の過熱で、大手企業にも内定辞退者の増加が目立ってきているのです。
内定を出した学生に辞退されることを防ぐため、各企業は内定者同士の懇親会を開いたり、先輩社員と対面する機会を設けたり、採用担当者と内定者が個人面談を適時に行うなど、“内定者フォロー”に力を入れている。
高村 学生が内定先企業に期待していることの1位は「内定者同士で連絡を取りたい」です。懇親会の開催を希望する声も多く、選考途中で学生同士が顔を合わせる機会が減ったこともあって、内定者同士や企業との交流に対する期待値が高いようです。なお、内定企業との交流については、約7割の学生が「対面」を希望しており、「オンライン」は3割程度にとどまります。オンラインでの選考では社員と接触する機会が少なく、内定後は直接に接触したいと考える学生が多いことがうかがえます。