米国のインフレに関する過去数週間の朗報は、同国の株式・債券相場だけでなく、日本の円相場も押し上げた。11月3日~12月6日の間に、円の対ドル相場は1ドル=148円から137円に上昇した(数値が小さくなるほど円の価値は上がる)。これは偶然の一致ではない。米国と日本の金利差拡大は円への需要を減らし、日本から米国へ、より多くの資金を移動させる。金利差の縮小は逆の効果を持つ。米国の金利と円相場の上下動は、米国のインフレ抑制の進展ペースに連動する。しかし、米国のインフレ率が通常の水準へと下がっても、円は以前よりもずっと弱い水準にとどまるだろう。日銀が集計している円の全貿易相手国通貨に対する「実質実効為替レート」は10月の段階で、半世紀ぶりの低水準となった。同レートは、日本と他の諸国の物価動向の違いを計算に入れたものであり、円の競争力をより正確に示す。この記録的な円安は、最近の金利変動の影響を超えた、より根本的な何かを反映している。円が下落しているのは日本経済が弱体化しているためである。