わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校【2026年入試版】#16Photo:PIXTA

少子化にもかかわらず、2023年入試から第3次“中受”ブームのさなかにあるといわれた関西。ところが、直近25年入試では受験率が過去最高を更新した一方で、関西2府4県の優勝劣敗が鮮明となった。特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#16では、東大寺学園や西大和学園、甲陽学院といった関西を代表する最難関校の受験者が軒並み激減した25年入試の分析とともに、来る26年入試の行方を受験のプロに聞いた。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

受験率は過去最高を更新も
実態は大阪の独り勝ち

 西の中学受験の一大市場、関西(2府4県)。その2025年入試の受験者数は、日能研関西の推計で1万7583人と前回24年入試から271人増加し、受験率に至っては10.52%と同0.35ポイントも跳ね上がる結果になった。

 日能研関西の森永直樹取締役は「受験者数の3年連続の増加は2000年以降で初めてで、受験率は過去最高を更新した。その背景にあるのは『大阪の東京化』。京都府や兵庫県の25年入試の受験者数は減った一方、それを超える爆増が大阪府で起き、全体の数字を引き上げた」とみる。

 アップ執行役員で進学館ルータス統括の吉田努氏も同意見だ。「エデュケーショナルネットワークの調査でも、府県別に分解すると、関西の25年の統一入試日である1月18日午前入試の受験者数は、前回24年入試と比べて、大阪が566人増で7.1ポイント増だったのに対し、京都は180人減(6.7ポイント減)、兵庫は92人減(1.9ポイント減)となった。受験率では、大阪は24年入試の11.2%から25年入試は12.2%へと1ポイント伸ばして、初めて12%を突破した。まさに大阪の独り勝ちの状況だ」(吉田氏)。

 25年入試において大阪で発生した局所的な“中受バブル”の理由。その答えについて、浜学園の松本茂学園長は、「大阪府で24年度から段階的に導入された『高校授業料無償化』政策の影響が、予想を大きく超えて出たからだ」と指摘する。

「大阪の受験者数の増加を学力層別に見ると、難関校よりも中堅校で顕著に表れた。この意味でも高校授業料無償化の影響はあったと考えた方が自然だ」と言うのは、希学園の黒田耕平理事長兼学園長だ。

 つまり、元来、公立志向の強い大阪にあって、私立高校に通わせても3年間の授業料がタダになったことを受け、急きょ中学受験にかじを切ってきた家庭が増えた可能性が高いわけだ。

 さらに、大阪の高校授業料無償化は、府境を接する隣県、特に関西最難関9校の受験動向に無視できない影響を与えたとみられている。

 アップの井上隆弘取締役は、「関西トップの灘については全国区の学校だけあって、大阪の高校授業料無償化の影響はなかった。だが、灘に次ぐ最難関校のうち、特に大阪からの受験者も多い奈良の東大寺学園の25年入試の受験者数は前回24年入試と比べて、8.3ポイント減、西大和学園が同13.8ポイント減、そして兵庫の甲陽学院が14.5ポイント減と、それぞれ大きく減らした」と解説する。

次ページでは、灘や東大寺学園、西大和学園、洛南、大阪星光学院など関西最難関9校に加え、人気上昇中の高槻や雲雀丘学園といった難関校、さらに関関同立付属校の受験者数の推移を掲載。その25年入試を分析し来る26年入試の行方を占う。