中国共産党指導部に新型コロナウイルスの徹底封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策の緩和を説得する上で、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)創業者の書簡が大きな役割を果たしていたことが分かった。複数の関係者が明らかにした。鴻海は米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の生産で世界最大手で、中国中部の河南省鄭州にiPhone工場を構えている。関係者らによると、鴻海の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は中国指導部に宛てた書簡で、厳格なコロナ規制によって、世界のサプライチェーン(供給網)における中国の中心的地位が脅されると指摘。鴻海従業員への規制にも一段の透明性が求められると述べた。書簡を送付したのは、鴻海の鄭州工場がコロナ規制を巡る混乱で揺れていた1カ月余り前だった。