国内経済は、金融機関の合併が続く一方で、ITベンチャーが台頭し、さまざまな話題をさらうようになった。05年にはライブドアや楽天がテレビ局の株を大量取得して、ライブドア創業者の堀江貴文氏が一躍、時の人に。週刊ダイヤモンド『総予測2005』特集の表紙には、トヨタ自動車会長および経団連会長を務めた奥田碩氏の横に、ソフトバンク創業者の孫正義氏、楽天創業者の三木谷浩史氏、堀江氏が並んだ。

 06年の漢字は「命」。選定理由には書いていないが、この頃は日本の人口が減少局面に突入していた。05年10月実施の国勢調査に基づく日本の総人口が、1億2776万7994人で確定し、戦後初めて総人口が前年を下回った。また、この年に第1次安倍内閣が発足してもいる。

 その後、いざなみ景気に終止符を打ったのが、リーマンショックを発端とする世界同時不況だ。世界の情勢が一変した08年の漢字は「変」。自動車や電機など日本が誇るメーカー企業が軒並み巨額の赤字に陥った。

 09年には衆院選で民主党が圧勝し、政権交代が起きた。総選挙で野党が単独で過半数を得て政権が交代するのは戦後初めてだ。続く10年は、1ドル=82円台に突入した急激な円高を受け、政府は約6年半ぶりとなる円売り・ドル買いの市場介入に踏み切った。円高による景気への影響を懸念した日本銀行は、事実上のゼロ金利政策を含む金融緩和策を断行し、デフレ克服への取り組みを強化した。

 また、同年には日本航空(JAL)が経営破綻(負債額は約2兆3000億円)。京セラ創業者の稲盛和夫氏を会長に迎え、稲盛氏はJAL再建の立役者となった。稲盛氏は22年8月、鬼籍に入ったが、生前の数々の言動からあらためて名経営者としての存在感を放つことに。