現代は既存のビジネススキルがにわかに陳腐化し、すぐに新たなスキル習得を求められる大激変期です。学び直しがブームとなる中、独学する力はもはや必須スキルになったといえます。特集『仕事に効く!独学バイブル』では『知的戦闘力を高める 独学の技法』と『新・独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』という2冊の独学本を紹介します。#7では、ビジネスの「戦闘力」を高めるリベラルアーツ関連のお薦め書籍99冊を大公開します。仕事にも効く!独学するビジネスパーソンにとってのバイブルになること請け合いです。(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)
「必須教養『宗教』を学ぶ」「世界史でわかる日本史」「最強の武器『経済学』」「使える哲学」――。これらは「週刊ダイヤモンド」が過去に手掛けてきた特集タイトルです。
宗教、歴史、経済学、哲学などは、いずれもビジネスパーソンから根強い人気がある売れ筋コンテンツであり、創刊100年を超える「週刊ダイヤモンド」において、幾度となく組まれた定番特集です。なぜ繰り返し特集化されるのかといえば、これらが単なる教養にとどまらず、ビジネスを理解する上で普遍的な武器であるからに他なりません。
こうした教養系のコンテンツを「リベラルアーツ」と一くくりにするケースが散見されますが、『知的戦闘力を高める 独学の技法』の著者で、独学で外資系コンサルタントとして活躍した山口周氏はそうではないと指摘します。
「リベラルアーツを社会人として身に付けるべき教養といった薄っぺらいニュアンスで捉えている人がいますが、これはとてももったいない。リベラルアーツのリベラルとは自由という意味です。アートとは技術のことです。つまり『リベラルアーツ』というのは、『自由の技術』ということです」と山口氏。
目の前の世界において常識として通用して誰もが疑問を感じることなく信じ切っている前提や枠組みを、一度引いた立場で相対化してみる、つまり「問う」「疑う」ための技術がリベラルアーツの神髄だというのです。
そもそも、あらゆる知的生産は「問う」「疑う」ことから始まります。質の良い「問い」「疑い」のないところには、質の良い「インプット」は生まれません。つまりリベラルアーツというのは、知的戦闘力の基礎体力を高める役割を担うわけです。
この「問う」「疑う」という行為は、ビジネスの世界においても強力な武器となります。たとえば、イノベーションというのは「常識を疑う」ことで初めて駆動されます。
山口氏は、知的戦闘力を向上させるために有益なリベラルアーツとして、以下の11ジャンルを選定しています。
(1)歴史:人類のらせん状の発展から未来を予測する力を身に付ける
(2)経済学:競争に勝ち続けるためにマーケットの原理を知る
(3)哲学:今のルールに疑問を感じ、自分の頭で考える力を鍛える
(4)経営学:思考プロセスを追体験しながらビジネスの共通言語を学ぶ
(5)心理学:人間がどう感じ、考え、行動するかという「不合理性」を知る
(6)音楽:全体構想の良しあしを直感的に判断できる力を高める
(7)脳科学:人間がしばしば起こすエラーを正確に理解・予測する
(8)文学:「実のあるうそ」から人間性を深く理解する
(9)詩:レトリックの引き出しを増やして「言葉の力」を身に付ける
(10)宗教:特定の組織や故人の思考・行動パターンを理解する
(11)自然科学:新たな発見や仮説がビジネスの問題解決の糸口になる
『知的戦闘力を高める 独学の技法』の第5章では、この全11ジャンルにおけるお薦め書籍を99冊紹介しています。ぜひご一読ください。