相続&生前贈与 65年ぶり大改正#9Photo:PIXTA

生前贈与はうまく活用すれば財産を移転させて相続時の税負担を大きく減らすことができるため、相続税対策の「王道」といわれる。しかし、やり方を間違えると税務署に狙われてしまう羽目になる。特集『相続&生前贈与 65年ぶり大改正』の#9では、生前贈与の基本的な仕組みや注意点をお届けする。(ダイヤモンド編集部 山出暁子)

「週刊ダイヤモンド」2023年1月7日・14日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

相続財産を減らして節税効果を高める
相続税対策の王道は「生前贈与」

 被相続人が生前に配偶者や子供たちに財産を分け与えておくと、相続財産が減り、相続時に相続税の負担を軽減できる。つまり、生前贈与して財産を分散した場合と、そうでない場合とでは税負担に大きな不公平が起こる。それを防ぐための仕組みが「贈与税」だ。

 贈与税は相続税に比べると、課税最低限も低く設定され、税の累進制の勾配も相続税率より急になっている。また相続開始前の3年(2024年の贈与分から7年に延長)以内の贈与は、相続税の課税価格に加えられる規定もある。

 それでも、贈与税をうまく活用することで、かなり有効な相続税対策になるのは間違いない。

 次ページでは、一般的な贈与である「暦年贈与」のポイントや、生前贈与で税務署に狙われないための注意点を解説する。