一方で木和田さんは、学資相談に関しては50%オフキャンペーンなど、料金をできるだけ下げる工夫をしています。「高校や専門学校の先生から学資が続かなくて退学する生徒が毎年いると聞きました。工夫次第で学業を続ける道があるかもしれないのにもったいないと思っています」と言い、また「私は苦しんでいる人の力になるFPでありたいのです。富裕層を対象にする人は多くいますから」とも言います。そのスタンスが、木和田さんのパーソナルブランド形成に大きく影響しています。

 日本FP協会に所属しているFPは全国に18万人いるそうですが、そのうち実務だけで成り立っているFPは1万人以下ではないかと、木和田さんは推測しています。少数派の道を選ぶことも有意な選択となり得るのです。

バーチャルとリアルの信用が
相乗効果を生む

 現在、掲載している新聞社運営の専門家サイトでは、木和田さんをインタビューした記事が掲載されています。この時、取材してくれたライターの「文章には事例を入れるとおもしろくなる、新聞の一面記事より地方版のほうが身近」という言葉が木和田さんに強く響きました。同時にコラムをたくさん載せていると検索にも引っかかりやすいことも知りました。

「そうか、以前の自分は学者的なFP話をコラムに書いていた。今度は地方版のように身近な話を書こう」と考えを改め、せっせとコラムを書いたそうです。今ではコラムを1本アップすると平均3件は問い合わせが入るという高い効果をあげています。

「独立事業者が単独のホームページを開いてもアクセスを増やすのは難しいので、大きなサイトの力を借りなくてはなりません。けれども、サイトの性格と自分の持ち味がマッチするものを選ばないと効果は上がらないし、自分を表現する方法も工夫が必要だと実感しています」

 顧客満足に徹する木和田さんのインターネットの活用で注目すべき点が、もうひとつあります。それは、より自分自身を知ってもらうために、木和田さんは、専門家サイトからの発信の役割とは別の役割を持たせた個人サイトを作っています。そちらはごくシンプルなもので、活動実績一覧のほかに木和田さんの考え方や仕事に対する取り組みが率直に記されています。「このページには信用性のある専門家サイトに掲載しているプロフィール欄から飛んでくださる方しかいないでしょう。ここでは多少深く木和田自身を知っていただけると思います。お客様の私の評価は満点か零点かどちらかではないかと思います。FPは信頼関係が結ばれたお客様とは生涯のお付き合いになりますから、それでいいのです」

 木和田さんはあくまでも自分のポリシーに忠実です。インターネットでの情報発信が相乗効果となり、公共施設である住吉区民センターでの講演会や相談会、公立高校での相談会などが、次第に大阪全体、近畿圏、さらには関東圏まで広がっていった今も、開業当初から大切にしてきた地元への貢献をもっともっとやらなくてはいけない。それにはどうしたらよいかというのが目下の課題と言います。