介護業界の人材流入と定着を進めていくなかで…
SSMには、「フレンド」のキャリアアップ支援として、「資格取得支援制度」がある。「介護職員初任者研修」といった資格取得のための費用を全額補助するというものだ。
平井 介護施設で働いている、当社の派遣スタッフのなかには「資格取得支援制度」をご利用する方もいます。「未経験・資格なし」で入職した後で、キャリアアップの一手段として資格の取得を目指しているのです。資格の取得は、直接雇用に切り替えるときにも役立ちます。
また、最近では、ユマニチュード*3 の研修を受講される方も増えています。当社はユマニチュード正規の研修事業を運営するIGM-Japon合同会社と業務連携し、研修機会を提供しています。対面だと人数が限られてしまうのですが、コロナ禍でオンラインが一般化し、一度にたくさんの方や遠方在住の方も参加できるようになりました。ユマニチュードの概念を知るための座学はオンライン受講で過不足なく行うことができ、研修後のアンケートでは、ほとんどの方がユマニチュードを実践しているとのこと。今後も、受講される方は増えていくでしょう。
*3 ユマニチュードはフランスの体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発した、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーション・ケアの技法。ユマニチュードとは「人間らしさを取り戻す」という意味をもつフランス語の造語。
SSMでは、派遣先企業が「フレンド」を直接雇用することも推奨している*4 。「フレンド」には、直接雇用への切り替えを望む人と派遣雇用の継続を望む人が混在しているが、いずれの場合においても、SSMは「派遣」の持つ機能を「長期活躍を見据えた準備期間」とし、介護業界への人材の流入と、就労先での定着を進めている。
*4 直接雇用は、派遣先企業と派遣スタッフの双方の同意が前提となる。また、直接雇用の転換は正社員だけでなく契約社員も含まれる。
平井 「中長期的に、介護業界で働く方を増やしていきたい」という強い想いが私たちにはあります。そのために、求職者が介護職の仕事の扉を叩きやすくなり、就労の門戸が広がるように尽力しています。「フレンド」の皆さんには、できるだけ長い期間、介護従事者としてご活躍いただけるよう、「不安だけど、介護職にチャレンジして、仕事を続けていきたい」という意思に寄り添いながら、私たちは一人ひとりに見合った仕事を見つけ、企業様や施設運営の方々とともに、未経験者を育てていくことを大切にしています。そして、直接雇用に切り替わった方の半年から1年後に、「○○さんはお元気ですか?」と、雇用側に尋ねていくことも私たちの日常になっています。また、直接雇用になったものの、入退職がさかんな施設は被雇用者を十分に生かしきれていないこともあるので、そうした状況を定点観測的に知っておく必要もあります。労働者を守ることも私たちの使命ですから。おかげさまで、「フレンド」の皆さんが働く介護施設の数は増えており、未経験者の活躍を実感しています。