求職者と求人のニーズをマッチさせる人材派遣会社

 福利厚生の充実や長期間での安定収入、管理職登用の可能性などを理由に、人材派遣会社を通さずに、最初から直接雇用を望む求職者も多いだろう。しかし、介護職の派遣就労には、就労条件や段階に応じてフレキシブルな働き方ができるというメリットがある。

平井 直接雇用の場合は、入職して数日後に、寝たきりの高齢者の介護を一人で行うなど、職場に慣れていない時点でこのようなハードな仕事を求められることもあります。一方、派遣スタッフである「フレンド」の方々は、切り分けたいろいろな仕事のなかからその方に合ったものをご担当いただきます。たとえば、元タクシードライバーの方には、まず、施設の送迎車の運転を行っていただきました。その後で、ご本人の希望があれば、介護施設内の別の仕事もお任せするなど、施設側と「フレンド」本人の意向を擦り合わせて、仕事内容を変えていくことも珍しくありません。

 平井さんが冒頭で述べたように、直接雇用では、“求職側と求人側のニーズの違い”が就労のハードルになるが、人材派遣会社が介在することでそれが解消され、ゆくゆくは、求職者が希望する直接雇用につながることもあるようだ。

平井 私たちは職場と働きたい方の条件や希望をマッチングさせることを介在価値の一つとしています。例えば、「資格は持っているけど、週2、3日しか働けません」と求職者が求人側に伝えても、「……いや、うちの仕事は週2、3日では困ります」と断られてしまう。しかし、第三者である人材派遣会社が介在することで、週2、3日の勤務も可能になっていきます。介護施設を運営する企業様のなかには、「ハローワークに求人を出せば、応募がたくさんあるだろう」「資格を持っていて、フルタイムで働ける人だけを雇用したい」とお考えになる方もいらっしゃいますが、人手不足が加速するなか、即戦力人材の確保は難易度が上がっています。多くの企業や働く人と接点のある当社だからこそ、いまの日本の労働市場や求職者から見た介護業界の印象を伝えていくことも重要だと考えています。

 どのような業種でも、人材の定着を左右するのが、日々の教育や研修などによる“育成”の実現だ。先輩社員やスタッフが入職したばかりの新人に仕事をしっかり教え、育てていく――厚生労働省も「人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度」*5 などを導入し、介護業界における人材育成の大切さを提唱しているが……。

*5 厚生労働省「介護人材確保に向けた取り組み」より

平井 スタッフの数や有資格者の採用に重きを置きすぎて、残念ながら、人を育てる意識が足りていない介護施設もあります。私たちスタッフサービスグループとお付き合いのある一般企業の多くは、人事担当の方に人手不足の危機感があって、仕事を切り分けたうえで、「○○の業務は派遣スタッフにお願いする」というスタンスが増えています。「切り分けできない」と思いがちな属人的な仕事も、マニュアルなどを通じて可視化し、新人に丁寧に教え、週数回しか働けない方でも行えるようにする――そうした人材育成によって人手不足は少しずつ解消していくでしょう。人を育てる文化や環境をいきなり作ることはたしかに難しいですが、経営者や施設長に私たちが人材を紹介していく過程で、仕事の切り分けのお手伝いをすること――これらの積み重ねが、人材が活躍し、定着する環境づくりにつながると考えています。