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書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、交渉術について解説する本連載。前回は、交渉に臨む前の心構え、マインドセットについて説明しました。今回は、交渉が上手な人、頭のいい人はどんなことに気を付けて交渉を進めているのかを解説します。実は、これを実施するためには事前の準備が非常に大切なのです。どんな準備が必要なのか、そのコツも合わせて紹介します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

頭がいい人が、交渉の間に常に注意を向けている要素とは?

今回は、クイズから始めましょう。交渉のうまい人や頭のいい人たちが、交渉している間、常に注意を向けている要素があります。それは、次のうちどれだと思いますか?

(1)交渉相手の表情の変化
(2)交渉を優位に運ぶための決めセリフを切り出すタイミング
(3)交渉の落としどころ

 たとえば、ある商品を売りたい販売担当者と、その商品の必要性は理解しているものの、まだ買いたいという気持ちにはなっていない顧客が話し合っているとしましょう。当然、「すぐにでも売りたい」vs「まだ買いたくない」ですから、このまま話していても交渉は平行線です。かといって売りたい側が「利便性を納得してもらったうえで買ってもらいたい」と自分の考えを強くプッシュしても、まだ買いたくない人が「類似品と比較し、価格や保証期間も含めて納得してから決めたい」と考えていれば、交渉は成立しません。

 この行き違いを乗り越えるには、交渉を持ちかけている販売担当者が、交渉の落としどころに着目することが欠かせません。ここでいう落としどころとは、売る側、買う側双方の「利害」に気付き、それが重なり合う「共通の利害」です。これをいち早く見いだせる人は、どんな交渉事でも交渉のペースを握ることができるのです。