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「これ以上がんばれない」「もう勉強したくない」と部下や子どもに泣きつかれたら、あなたは何と声をかけますか?やる気を出してほしくて「もっとがんばろうよ」と励ますでしょうか。書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者・犬塚壮志氏によれば、こういうときに「がんばれ」や「やりなさい」は逆効果だといいます。東京大学大学院で交渉学を学んだ交渉のプロが教える、行き詰まった人にやる気を出させる魔法の言葉とは……?(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

「やりたくない!」「もう無理……」
くじけている人にかけるべき言葉とは?

 やらなくてはいけないのは分かっているけど、やりたくない。もう一踏ん張りしたほうがいいのは明らかだけど、どうしても気分が乗らない。愚痴をこぼしてやり過ごしたり、なんとかやらずに済ませることはできないかと願ったり……。大人でも子どもでも、そんな心理状態になるのはよくあることです。

 駄々をこねる側ならばいいですが、あなたが逆の立場だとしたらどうしますか?部署の繁忙期も終盤戦、残業が続いたある日、社歴1年目の部下が机に突っ伏して「先輩、僕はもうこんな仕事やりたくないです……」 とぼやき始めました。あなたが上司なら、どうやって仕事を続けてもらいますか?

 あるいは、中学受験をすると決めた息子が試験本番を1カ月後に控え、ストレスがピークに達したのか、「勉強なんていやだ!もうやりたくない!」と言ってきた時、どうやって勉強をするモードに戻ってもらいますか?

 ここで「仕事なんだから、いろいろ言わずにやりなさい!」などの命令形を使ったり、「受験も近いんだから、集中すべきだよ」とやらなければならない理由を「べき論」で説いたりしても逆効果。かえって相手の反発心をあおり、苛立たせ、行動を変えてもらいにくくなってしまいます。

 では、どうすれば相手の心理状態を無理なく変えていくことができるのでしょうか。