次期日銀総裁は、退任する黒田東彦氏が10年前の就任時に直面したのと同様の課題に取り組むことになるだろう。それは、しつこい低インフレとそれに伴う景気低迷だ。2人の違いは、黒田氏の後任に就くとみられる植田和男氏(71)が、1990年代にさかのぼるこれらの問題を日銀が解決できるという自信を前任者ほど持たずに就任することだ。政府は14日に後任人事案を国会に提示する見通し。今回の総裁交代で、日銀が経済に奇跡を起こすとの高い期待に終止符が打たれることになる。植田氏は四半世紀近く前にそれを予見していた。植田氏は2000年、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿の中で、日銀総裁が経済を活性化し得る方法を一通り分析した上で、すべての手段が不十分との結論を示した。当時、同氏は日銀審議委員を務めており、日本は物価下落に対処する初期段階にあった。
日銀次期総裁に「救世主」を期待しない日本
黒田氏の後任者が経済を立て直すとの期待は小さい
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