なぜ「安倍・菅政権」は
戦後最長の長期政権になったのか?
田原 それにしてもね、なぜ安倍さんと菅さんによる安倍政権というのは、あれほどの長期政権になったのでしょうか。
菅 やはり、安倍さんが第1次政権の失敗をきちんと振り返って反省し、いろいろなことを緻密に積み上げてきていたからでしょうね。
田原 今一番言われてるのは、やはり安倍政権が戦後最長になったのは、菅さんの存在が大きかったと。安倍さんは具体的なことはほとんど菅さんにやらせた。
菅 いえ、そんなことはないですよ。特に第2次政権の時は、ご自身でしっかりと計算しながら進めていました。
田原 あのときの安倍さんと菅さんのタッグを見ていると、岸田さんには菅さんのような人がいないですね。安倍さんのために菅さんは体を張って頑張っていた。でも岸田さんにはそういう人があまりいない気がするのですが、そのあたり、どう思いますか?
菅 いや、みなさん頑張っていますよ。安倍さんのときは、第1次政権で失敗したことが、第2次政権の成功に大きく役立ったと思っています。
田原 安倍さんの第1次政権は1年も持ちませんでした。第1次政権と第2次政権は、菅さんからみてどこが違いましたか?
菅 いろいろありますが、特に大きいのは、安倍さんの心構えじゃないでしょうか。
田原 心構えとは?
菅 戦略的に政権を運営していたと思いますよね。
田原 戦略的というのは、どういうことですか?
菅 例えば、平和安全法制や特定秘密保護法など、国民受けの悪い法律を成立させた後に、国民から支持を得やすい法律を成立させて支持率を回復させて、次に進んでいく。
田原 まさに、安全保障や特定秘密保護法の時は、支持率がドーンと落ちましたね。
菅 あのときは、10%以上下がるのを覚悟してやっていますから。
田原 安倍さんがやったのは菅さんが勧めたのですか?
菅 あれは安倍さんですけれども、そのように、強弱を付けながら戦略的に政権を運営していました。
田原 安倍さん亡き後、日本の一番の課題は何ですか。
菅 安倍さんが亡くなったからということよりも、生前、安倍さんとよく話したのは、「成長」をやはり大事にしていこうと。これは非常に大事なことだと思ってます。
田原 なるほど、成長。岸田さんは最近はあまり「成長」を強調しなくなりましたね。
菅 そうですか、私はよくわかりません。
田原 菅さんが首相を退いて、岸田首相が誕生しました。菅さんから見て、安倍さんと岸田さん、2人の首相はどの点が大きく違うと思いますか?