岸田内閣は国会での議論なしに
方針の大転換を決めてしまう

 私は農家の長男坊なので、何となく申し訳ない気持ちを抱えながらも、一生懸命、農業(に関する政策)に取り組んできました。組織を変えたんですよ。農林水産省や厚生労働省などの縦割りを解消し、輸出・国際局というのを農林水産省の中につくって、農林水産品の輸出に徹底して力を入れました。第2次安倍政権発足当時は輸出額は約4500億円でしたが、去年は1兆4000億円を超えましたから。

田原 もう1つね、日本はジェンダーギャップが非常に激しいと。つまり、女性の国会議員、特に衆議院は10%もいないんですよね。

菅前首相

 憲法の中で、選挙によって私たち国会議員が選ばれているわけですが、それにしても世界から見ても日本はずっと低いですね。

田原 先進国で最低ですよね。憲法だって男女同権ですし、男女雇用機会均等法もある。でもなぜそれがうまくいかないんでしょう。

 これまで議論もされてきていますが、まだなじんではいないですね。労働時間などさまざまなことが影響していますし、国全体として取り組んでいく必要があると思います。

田原 最近、岸田さんの秘書官が、LBGTについてとんでもない発言をして更迭されましたけど、どうしてあんな発言が出るんでしょう。

 私はよくわかりません。ただ、絶対に差別のない社会にしなければいけない。これは当然だと思います。

田原 ところで今、岸田さんは、安全保障政策について積極論を持ち出した。敵基地攻撃能力、反撃能力と呼ばれてもいますが、これを含めた防衛力を抜本的に強化する、(防衛費に関連する研究開発費などを加えた安全保障関連経費が)GDP(国内総生産)比1.2%くらいなのを、2%以上に引き上げると。岸田内閣は「専守防衛」を逸脱したいのではないかという意見もあります。これについてはどう思いますか?

 日米安保条約が非対称的な構造をとっている中で、日米同盟を機能させるために、私たちは平和安全法制を作ったわけです。ロシアによるウクライナ侵攻、あの状況を見たら、同盟を機能するようにして、抑止力を高めるということは、どの政権にとっても必要なことだと思います。

田原氏

田原 日米同盟の信頼性を強化し、NATOのような同盟関係によって(紛争を未然に防ぐための)抑止力を高める。ウクライナ戦争で世界の状況が変わったので、当然、安全保障の強化は大事だと感じています。

 ただ、こうした安全保障や、原発の再稼働・運転延長・新設といった原発政策もそうですが、方針の大転換をするときは、普通は国会を開いて与野党で論議して行うもの。しかし岸田内閣は国会を開く前に決めてしまっています。野党は今、この点を非常に批判していますね。

 私は増税については少し荒っぽかったんじゃないかなと思います。

田原 国会を開いてやるべきでしょう。

 国会というのは、通常国会というのは決まってますから、国会でやる場合もありますし、国会なしでもできるわけですが、時間をかけて丁寧に説明していくということは、やはり大事だと思います。