今、脚光を浴びている「自力整体」。人の手を借りずに、「整体施術のプロの技法」を自分におこなえるメソッドだ。痛みや不調を解決するワークを紹介した『すごい自力整体』は、大きな反響を呼んでいる。今回、出版を記念して著者の矢上真理恵さんと対談してくださったのは、「自力整体」の生みの親・矢上裕さん。矢上真理恵さんのお父様でもある矢上裕さんは35年前、鍼灸師・整体治療家として治療しながら、効果の高い施術を自分におこなえるように改良し「自力整体」を完成。著書は25冊を超える。今回『すごい自力整体』の監修者として参加。対談の第二話は、「いろいろ通っているのに痛みやコリをぶりかえす人」を救う、整体プロの技とは?(構成/依田則子、写真/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
いま痛みに苦しんでいる人を救いたいという思いから誕生した
「自力整体」
――現在1万5000人が実践する「自力整体」ですが、生徒さんが受講されるきっかけは何でしょうか?
矢上裕(以下「裕」):私のクラスの場合は、腰や膝(ひざ)など「体のどこかが痛い」という方が多いですね。
痛みを今すぐ取りたいけれど、整形外科に行っても答えがでない。根本的に治したいのに、薬と湿布しかくれない。そんな悩みをもつ方が受講されています。
もともと私が鍼灸師を目指したのは、「痛みの専門家」になりたかったからなんですね。「痛み」というのは、とても人を苦しめます。その痛みを即座に取ってくれる専門家がいれば、これはとても役に立つだろうと思い、鍼灸師になったわけです。
私が作ったこの「自力整体」も、「いま痛みに苦しむ人を救いたい」という思いから、痛みに対処できるメソッドとして考案したんです。
――裕先生のウェブ上の日記には、生徒さんからの感想も掲載されていて、「痛みがラクになったので、友人にも教えてあげました!」という声が多いですね。
裕:そうですね。痛みが良くなったという方が、痛みに困っている友人を連れてこられて。そういう連鎖で「自力整体」が広がってきたように思います。
――真理恵さんの生徒さんは、若い世代の方も多いようですね。みなさん、どのようなきっかけで受講されるのでしょうか?
矢上真理恵(以下「真理恵」):パソコン作業で目を酷使したり、座りっぱなしで、なんらかの不調を抱える方が多いですね。
たとえば、冷え、便秘、生理・妊娠の悩み、眠りの質が悪い・不眠などです。以前、ニューヨークで「自力整体」のレッスンをおこなった翌朝、ある生徒さんから「7年間も不眠症に悩まされていたのに、昨夜はぐっすり眠れました!」と、メールをいただいたんです。
――7年間も。それは本当にうれしかったでしょうね。
真理恵:そうですね。夜「自力整体」をおこなうと、体がほぐれて脱力できるので、体を休ませる働きをする神経「副交感神経」が優位になって熟睡できるんですね。
私の個人レッスンを受けてくださっているキックボクサーの方も、「交感神経」優位型で、夜になっても休息モードになれず悩んでいたのですが、夜「自力整体」を習慣にすることで、リラックスできるようになったんです。疲れている現代人のみなさんへ、「自力整体」をおすすめしたいです。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。 写真/榊智朗
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。