デザインの変革力を、より広く発信してくために

――デザインの可能性を社外とも共有する上で、デザインアドボケートが果たす役割も大きいですね。横田さんは社外に発信する意義をどのように捉えていますか。

横田 「デザインアドボケート」には社内ポスティングへの応募を通じて就任しました。役職が公募されたとき、まさに「自分の課題に取り組める!」と思って手を挙げました。私は「デザインで人と経済を沸かす」を個人のパーパスとしていますが、富士通に入社したのも「日本をデザインの力で良くしたい」という思いが動機でした。デザインの価値発信は、私個人の熱意を伴う活動です。

 学生時代にスタートアップ企業でインターンをしていたときも、積極的な情報発信が自分だけでなく組織にもメリットがあると実感していました。富士通に入社後は、大企業の社員でありながら個人名で発信することの難しさに課題を感じていたので、今、デザインアドボケートとして堂々と発信できることに、とてもやりがいを感じます。今後はさらにデザインの可能性について「認知向上」から「行動変容」につなげられるよう発信内容を高めていきたいと思っています。

――デザインの可能性を示す上で、より強調したい領域はありますか。

横田 地域課題の解決はデザイナーがまだ十分に手を広げられておらず、個人的に注目しています。地方では、熱意ある起業家がいても、住民とのコミュニケーションや資金調達がうまくいかなくてつまずくことが少なくありません。デザインの力で事業の意義を可視化できれば、もっと理解を広げ、投資を促すことにもつながるはずです。

――社会的に意義ある活動だと思いますが、富士通の活動ということが足かせになることはありませんか。

横田 そもそも全てを富士通の社内リソースだけで解決しようとする活動ではありませんので、そこにストレスはありません。これからはむしろ、富士通社内でビジネス化できない領域でも積極的に課題を探索し、社外パートナーとの関係を構築していきたいと思っていますし、そうした活動の発信を通じて、デザイナーの新しいロールモデルになれたらいいなとも思っています。

宇田 実際に、横田さんの発信の効果で、今年はデザインセンターのインターン応募者数が倍増しています。また、数だけでなく、高い意欲を持って参加してくれている人も増えていると感じています。これからも、富士通色を無理に出そうとするのではなく、課題意識を共有できるネットワークを広げ、その結果、富士通がやるべきことが広がっていく、そんな活動を心掛けてほしいと思っています。

なぜ富士通はDX企業に変わるために「デザイン」を活用するのかPhoto by ASAMI MAKURA