ライバル車にはない
独自の味わいは大きな魅力

 室内は上質である。試乗車の内装色はブラウン。シックな印象で統一され、装備は至れりつくせり。本革シート、ナビ機能内蔵10.1インチセンターディスプレイ、先進安全システムなどがすべて標準装備。作り込みも丁寧だ。室内スペースは“広大”といえるほど。1/2列目がゆったりしているのはもちろん、3列目も実用十分な広さが確保されている。3列目は床下収納タイプ。通常時、たたんでおけば広いラゲッジスペースとして使える。ちなみに荷室容量は3列目使用時が170L、5名乗車時で481Lを確保する。

 走りは予想以上に力強く、しかも軽快。最新設計の2Lディーゼルは、低回転域から豊かなトルクを生み出し、約1.9トンのボディをドライバーの意のままに動かす。9速ATとの相性も良好だ。静粛性はハイレベル。ガソリンとは別種の音質ではあるものの、気にならない。電動化の促進で静かなものの、走りの実感が得にくいクルマが増える中、適度なサウンドはかえってプラスポイントと感じた。もちろんディーゼルだけに燃費経済性は優秀。WLTCモードで13.9km/Lである。コマンダーの個性は、かつてのアメリカンワゴンを思わせる、ゆったりフィーリングが満喫できること。このクルマには、ハンドリングや乗り心地を含め、ドライバー、そしてパッセンジャーを自然とリラックスさせる骨太なサムシングがある。“包容力”と表現するのが適当な、ライバル車にはない独自の味わいは大きな魅力。この内容で600万円を切る価格はバーゲンだと思う。

(CAR and DRIVER編集部 横田宏近 写真/小久保昭彦)

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