円満夫婦が迎えた、卒婚の残念すぎる末路

「ウチは理想的な卒婚の関係だと信じて疑いませんでした。それなのに、まさかこんなことになるとは思ってもみなかった」と動揺するのはK子さん(56歳・主婦)。26年前に2歳年下の夫と結婚。2人の子どもが独立してからは、夫と愛犬と都内のマンションに暮らしています。

 K子さんの夫は、化粧品を扱う会社の経営者です。

「結婚当初から仕事熱心で付き合いも多く、家事や育児は私に任せきりでした。勤めていた会社から独立、開業してからはさらに忙しくなる一方。そのおかげもあって、私たち家族はお金で苦労したことはありませんでした」

 K子さんの夫は、若い頃から浮気の話が絶えなかったといいます。

「初めのうちは私もいちいち怒ったり、実家を巻き込んで大騒ぎしたりしていたのですが、結婚生活が長くなるにつれ『お金を稼いで、元気でいてくれるなら仕方ないか……』と諦めるようになっていました」

 やがて子どもたちが独立してからは、夫は都内のマンションで、K子さんは自宅で、それぞれ生活する卒婚状態が自然な形になっていたとのこと。「子どもたちが帰ってくる休日や、親戚関係の用事があるときは自宅に帰ってくる程度。気づけばお互いの近況報告すらしなくなっていました。でも、それはそれで私も楽だったんですけどね」とK子さんは振り返ります。

 ところが、安定した卒婚状態に快適さを感じていたのはK子さんだけで、夫のほうはまるで違っていたことが判明する、ある事件が起こったのです。

「ある日、珍しく平日の夕方に夫が帰宅したかと思ったら、開口一番『もうお前とはやっていけない。すまないが、別れてほしい』と離婚を切り出されたんです。今までさんざん夫の浮気は経験しましたが、あんなに真剣な調子で離婚を迫られたのは初めてだったのでビックリしました」

 いったい何があったのか? 後日私が夫にヒアリングをしたところ、こんな本音を聞かされたのです。

「実は好きな人がいるんです。いつもメイクやおしゃれをしてきれいでいることを心がけている40代の女性です。一緒に仕事をしているうちに、彼女の聡明さにもどんどん引かれて深い関係になってしまって……。この年になって、こんなに誰かを好きになるとは思わなかった。これまで家庭を守り、自分を支えてきてくれた妻には申し訳ないと思うけれど、残りの人生は彼女と一緒に過ごしたいんです」

 夫が新しい恋人との将来を夢見て熱く語る一方、浮気相手の存在を知ったK子さんは現在、「絶対に離婚はしません。夫が自分だけ幸せになるのは許せない」と徹底抗戦の姿勢を見せています。