講師陣が参加者一人ひとりに濃密に対応していく

『研修開発ラボ』第3回「設計編(1)」の開催は、2022年12月13日だった。関根さん・島村さんに、今回は鈴木さんも加わり、3名の講師陣によって進められた。

 最初のテーマは、「研修テーマと学習項目の共有」。研修のゴールが「教室(研修)内で達成できるゴールになっているか」を確認しつつ、ペアになって、研修のゴールに必要な要素をプレゼンし合った。事前動画の「学習者を主語にし、その学習者がいかに変化するかという観点から『研修1日目のプランニングシート』を記述する」という注意点が私の頭に残っていたが、ブレイクアウトルームを見学すると、ちょうど、ある参加者が「(これまでは)学習者の視点に欠けていた」と発言していた。それに対し、講師が「企画編でお伝えした、入り口と出口という概念が大切」とアドバイス。具体的な事例も織り交ぜて説明してくれるため、参考になった。

 次のテーマ「研修設計に関する復習」では、事前動画で学んだ「モデリング」「プリンシプル」「タイムスケジューリング」をおさらいした。「モデリング」で組み立てるものは、「はく」「すう」「はく」の3つの箱だ。研修では、「すう」――つまり、吸収させることに重きを置きがちだが、学習者(研修受講者)に自己開示や課題共有などを行ってもらう(はく)→問題解決を支援する(すう)→学習を定着させ、行動を促進する(はく)という流れで、「はく」ことに力点を置いた設計にする、というものだった。「タイムスケジューリング」も研修においては重要な要素だ。一般的に、人が、理解しながら話を聞ける時間は最大90分間のようだが、オンラインでは集中力が持続しないため、70分単位で休憩をとるのが望ましいとのこと。

 後半は、「研修1日目のプランニングシート」に書き込むための「手法 How」「目的 Why」を考えていった。各人がそれぞれを記入した後、40分間のブレイクアウトルームに。3名の講師が各ルームを周り、ていねいにフォローしていく。私が見学したルームでは、「手法」のひとつとして、「他社の事例を教えて受講者に考えさせる」という案が出たが、「他社よりも先輩社員に登場してもらったほうが説得力があるのでは?」といったやりとりがあった。このように、『研修開発ラボ』は、参加者が考える時間を十分に取り、講師たちが一人ひとりに濃密に対応していく。私は、それが、良い意味で「かなり贅沢」だと感じた。

 次回「設計編(2)」は、『研修開発ラボ』のクライマックスともいえる、中原教授の“公開ゼミナール”だ。当日は参加者一人ずつが、それぞれの研修企画についてプレゼンを行い、中原教授と講師陣と参加者同士でフィードバックしていく。