『転移』までを行えるようになる『研修開発ラボ』
『研修開発ラボ』の第2回は、「転移編」。「転移」というワードは耳慣れないかもしれないが、『研修開発ラボ』では、シンプルに「転移=現場実践」ととらえている。研修受講者が研修で学んだ内容を現場に運んで終わりではなく、“実践して成果を生み出す”ところまでを追求することが重要なのだ。
事前動画で私が興味を持ったのが、「研修評価の4レベル」についてだった。レベル1は「反応」(研修に対する印象)、レベル2は「学習」、レベル3は「行動」、レベル4は「成果」と分けられているが、『研修開発ラボ』で重視しているのが、レベル3の「行動」であり、これが「転移」に直結する。そのため、『研修開発ラボ』では、研修受講者が各職場で確実に実践できる研修づくりをサポートするという。「『転移』まで行えるように学べるのは『研修開発ラボ』だけ」という、講師陣の力強いメッセージが心に響いた。
この「転移編」の開催は、前回の「企画編」から約1カ月後となる2022年11月8日だった。今回は14名が出席。前回同様、関根さんと島村さんが講師を務め、まず、「転移編」全体のゴールとなる「研修転移促進策の立案」について言及。続いて、参加者同士で近況報告を行い、事前動画の復習と事前課題の確認へと移った。どのような「研修転移促進策」を「年間計画」に盛り込んだかをグループワークの中でプレゼン。ある参加者は「(研修転移の促進策として)研修受講者が目標をつくること」、別の参加者は「研修受講者が研修後に個別に相談できる場をつくりたい」と発表した。
「転移促進の障害と対策」というテーマでは、「障害」と、その「対策」をグループで議論し合い、「Google Jamboard」を使って発表。オンライン上でホワイトボードが共有され、各グループの討議内容を知ることが各人の学びを深めていく。
グループのメンバーを変えて行った「研修中にできる転移促進策」についてのワークも印象的だった。「自己効力感」「類推する力」「逆戻り予防策」といったキーワードが挙げられ、特に「自己効力感」、すなわち、研修で学んだ内容を現場で実践できる(can)という、受講者の感覚を高めることが「研修中にできる転移促進策」のポイントになる。「研修評価の4レベル」のレベル1「反応」――その「反応」を測る「研修後アンケート」でも、「研修で学んだことを職場で活用できるか?」というふうに「自己効力感」を測ることが良いようだ。グループワークでは、自己効力感を引き出すための案として、「受講者の成功体験を挙げてもらう」「ロールプレイでスキルを復習する」などが挙がり、参加者それぞれの研修企画が「転移」を意識し始めたことが伝わってきた。
全体の振り返りの時間では、「研修転移についての具体的な方法を理解できた」「他社の考え方や施策を知れてよかった」といったコメントがあり、受講者にとって、今回も有意義な講座だったようだ。