SBIホールディングスの北尾吉孝社長SBIホールディングスの北尾吉孝社長 Photo:JIJI

欧米の金融機関が大揺れとなり、マーケットが混乱する中、日本で2社のインターネット銀行が上場する。住信SBIネット銀行と楽天銀行だ。まさに最悪のタイミングでの上場となるが、楽天グループを散々コケにしてきたSBIホールディングス“総帥”北尾吉孝氏の、過去の言動も問われることになる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

SBI北尾vs楽天三木谷の上場対決
「いいバリューつかない」がブーメランに?

 米国のシリコンバレーバンク(SVB)などの経営破綻、そして、これに引きずられた形のクレディ・スイス・グループの経営危機とUBSによる買収――。昨年以降の急速な利上げの負の側面が顕在化し、世界経済を揺さぶっている。

 金利上昇で恩恵を受けるとみられていた銀行株は上昇を続けてきたが、一気に下落した。

 そうした一連の混乱に前後して、上場申請が承認されたと発表した二つのインターネット銀行がある。住信SBIネット銀行と、楽天銀行だ。

 住信SBIネット銀行を三井住友信託銀行との共同出資で運営してきたSBIホールディングス(HD)傘下のSBI証券は、ネット証券業界で最大の収益規模を持ち、口座数では、楽天銀行と共に上場を目指す楽天証券HD傘下の楽天証券と激しく競り合っている。

 SBIHDの北尾吉孝会長兼社長は、ライバルの楽天証券や、ひいては楽天グループ本体を事あるごとに揶揄(やゆ)してきた。

 楽天グループは携帯電話事業で巨額の赤字を抱え、苦しい懐事情から金融子会社2社を上場させようとしているのは自明である。

 ゆえに北尾氏は、2022年5月の決算発表記者会見で「彼(楽天グループの三木谷浩史会長兼社長)は、自分が創り上げてきたものを悪いタイミングで売却する。(上場する2社に)いいバリューはつかないと思う」と当てこすったのだった。

 では果たして、SBI証券の代金の自動振替などができる住信SBIネット銀行に「いいバリュー」はつくのだろうか?