人口が減り、
急速に少子高齢化が進む中国社会

 最近、中国では、「新生児が少なすぎ、大学新卒が多すぎ、35歳で仕事探しは高齢すぎ、60歳定年は早すぎ」というフレーズが流行っている。このフレーズが広がったのは、「今の中国の現状を物語っている」と多くの人が思っているからだ。

 中国では、子どもを持たないと考える人が増え続けている。昨年、中国の出生数はわずか956万人だった。この数は、「一人っ子政策」が撤廃された2016年の1867万人に比べ、約半分。たった6年間でこれほど激減したのだ。上海市が最近発表した「2022年度人口観測統計データ」では、上海の合計特殊出生率は0.7と、極めて低い水準である。一般的に、人口をそのままキープするには、合計特殊出生率は2以上必要とされている。

 一方、昨年中国の大学を卒業した新卒者は1000万人を突破、コロナ禍や経済状態の悪化もあって「卒業=失業」が常態化しつつある。中国国家統計局の公式データによると、中国では都市部に住む16~24歳の5人に1人が失業しているという(2022年7月の数字)。この3年間、国の政策により、IT関係や不動産、校外学習塾などの産業は大きな打撃を受けた。雇用がなくなり、大量に失業者が出た結果、デリバリーやタクシー運転手などをバイトとして行うフレキシブルワーカーが2億人に達している。その中には、4年制大学や大学院の卒業者が20万人以上いるという(1月15日に、美団 Meituanが公表した「デリバリー配達スタッフ雇用レポート」)。
※参考記事:中国で「高学歴貧乏」が増加、若者の深刻な就職難・リストラの実態とは

 そして、日本でも大きく報じられたが、2022年末、61年ぶりに中国の人口が減少した。少子高齢化が急速に進む中、政府は、現在55~60歳の定年退職年齢を65歳へ引き上げようとしている。「労働人口が減り、年金の財源が枯渇するから、年金の受給年齢を上げようとしているのだ」と国民は解釈している。