選択できるものにはトレードオフがつきもの

 選択できるものには必然的にトレードオフが生じ、相応のコストがともなう。それを回避しようとして、2人のパートナーと同時につき合ったり(俗に「二股をかける」という)、結婚していながら夫/妻以外と性的関係をもっていたりすると、ほとんどの場合、悲惨な「末路」を迎える。すなわち、リスクが顕在化する。

 そもそも「結婚」自体が典型的なトレードオフだ。結婚には生活の安定とか、夫婦で子どもを育てるとか、いろいろなメリットがある。しかしその一方で、独身時代の自由を失ったり、自分で稼いだお金を好きに使えなくなるなどのデメリットもある。だとしたら、どちらがコスパがいいか誰もが考えるだろう。

 その結果、結婚という選択に躊躇するひとが増えているからこそ、日本でも世界(先進国)でも婚姻率が顕著に低下しているのだ。

橘玲(たちばな・あきら)
作家
2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は『シンプルで合理的な人生設計』(ダイヤモンド社)。毎週木曜日にメルマガ「世の中の仕組みと人生のデザイン」を配信。