幸福を3つの資本で定義し、話題となった前著『幸福の「資本」論』からパワーアップし、さらに“合理性”を加えて、人生の成功について追及した橘玲氏の最新刊『シンプルで合理的な人生設計』が話題だ。「合理性」こそ最強の成功法則である、と語る橘玲氏の人生設計論の一部をご紹介しよう!
成功するためには、人生の土台を合理的に設計せよ
もっともシンプルな成功法則を提案したい。それが「合理性」だ。とはいえ、「人生を合理的に生きなさい」などというバカげた話をするわけではない。そんなものは「マシン(機械)」の人生だ。
自由に生きるためには、人生の土台を合理的に設計せよ
というのが今回の主張だ。
私は20年前から、「自由とは哲学的・心理的な問題ではなく、自由に生きるための経済的な土台(インフラストラクチャー)をもっているかどうかで決まる」と述べてきた。これはいまでは、FI(経済的独立:Financial Independence)と呼ばれている。
前著『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)はこれを拡張して、幸福の土台を「金融資本」「人的資本」「社会資本」という3つの資本(キャピタル)で説明した(図1)。
これが画期的(だと自分で思っている)のは、幸福を客観的に定義できることだ。3つの資本をすべてもっていると「幸福」、なにひとつもっていないと「不幸」で、すべてのひとがこのスペクトラム(連続体)のどこかに収まる。
大きな資産をもち、仕事で成功し、社会的な名声もあるのに、自分のことを「不幸」だと感じているひとはかなりの数いるだろう。しかしこれは、定義上「幸福」になる。その一方で、一文無しで仕事もなく、家族も友人もいない孤独な身の上なのに、自分のことを「幸福」だと思っているひともいるかもしれない。だがこの場合は、定義上「不幸」だ。
「そんなのおかしい」と思うかもしれないが、このようにして幸福を主観から切り離すことで、その土台を客観的に論じることができるようになる。この土台を「合理性」という枠組みからより詳しく見ていきたい。