WBCの取材で日本を訪れた外国人記者が日本のフルーツサンドに感銘を受け、SNSで紹介する様子が話題になった。最近ではコンビニでもよく見かけるようになり、人気が定着しているフルーツサンド。その歴史をひもときながら、おいしさや人気の理由を解説しよう。(講演・研修セミナー講師、マーケティング・コンサルタント 新山勝利)
海外ではめったに見かけない
フルーツサンド
今年3月末、野球の世界一を決める大会、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。白熱した戦いの中で、我らが侍ジャパンの優勝で幕を閉じた。
その地域別の対抗予選第1次ラウンドが行われた日本では、アメリカ人記者(MLB.com:米大リーグ公式)、マイケル・クレア氏がさまざまなレポートを全世界に発信していた。自身のSNSには、取材中に食べたイチゴのフルーツサンドイッチ(以下、フルーツサンド)を絶賛し、自撮り写真を掲載していた。
この外国人記者をとりこにしてしまったフルーツサンドは、日本ではなじみのスイーツだ。デパートや専門店、果物店、そしてフルーツパーラー、喫茶店だけでなく、最近ではよくスーパーマーケットやコンビニでも見られる。SNSにも数多く投稿されており、市民権を得て身近に定着しているものだ。
しかし、アメリカ人など外国の方々からすると、日本で初めて見るスイーツのようである。実は、フルーツサンドは日本生まれといわれ、海外ではメジャーとはいえず、めったに見かけないものなのだ。
ここで、日本のフルーツサンドの歴史をひもといていこう。
まず、日本のフルーツサンドの発祥という説がある、高級フルーツ販売やフルーツパーラーでも有名な千疋屋総本店(せんびきやそうほんてん、東京都・中央区)とフルーツサンドの歴史を紹介したい。
以前、6代目の代表取締役社長、大島博氏とお話しする機会があり、フルーツサンドのことを伺ったことがあった。
すると、フルーツサンドが誕生した経緯は文献も残っておらず、不明とのことだった。
ただし、広まった経緯としては、千疋屋の暖簾(のれん)分けで店舗が増え、フルーツサンドを食べられる機会が増えた影響が大きかったという。