IRジャパンの「マッチポンプ」疑惑を巡り、持ち株会社のIRジャパンホールディングス社長で実質オーナーの寺下史郎氏が“被害者”の東京機械製作所に対し、個人で億単位の賠償金支払いを検討していることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。メディア界の“巨人”読売新聞を激怒させた「落とし前」が、水面下で模索されている。特集『マッチポンプ IRジャパンの正体』(全6回)の#1で、その全容を明らかにする。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
インサイダー事件の「Xデー」も間近!
虎の尾を踏んだIRジャパンを襲う厄災
一昨年に世間を騒がせた東京機械製作所(TKS)とアジア開発キャピタル(ADC)の買収攻防戦。その戦いで東京機械製作所の防衛アドバイザーを担ったIRジャパンの栗尾拓滋・代表取締役副社長(当時)が、こともあろうかADC側に買収をそそのかしていた「マッチポンプ」疑惑――。
昨年11月にダイヤモンド・オンライン(DOL)の報道で発覚し、これを受けて設置された第三者委員会が今年3月、調査報告書を公表した。
報告書の中身は本特集#2以降で詳報するが、報道内容は事実であることが認定され、IRジャパンは信頼回復に向けた再発防止策を策定。IRジャパンホールディングス株の過半数を保持し、報告書で「絶対的権力者」と断定された寺下史郎社長ら経営幹部の報酬減額も公表され、一連の騒動は収束に向かうかに見えた。
だがヤマ場は、実はこれからだ。
なぜなら、マッチポンプ疑惑に激怒した巨大メディアが存在するからである。読売新聞だ。
「山口社長の怒りは半端ではない。IRジャパンをつぶす気ではないか」――。
山口社長とは、読売新聞グループ本社社長、山口寿一氏のことだ。同氏の怒りを鎮めるべく、IRジャパン内部では「落とし前」として驚きの賠償計画が浮上していることが分かった。
また、IRジャパンに厄災をもたらすもう一つの不祥事が、連休明けにも動きだそうとしている。栗尾氏が関わるインサイダー取引事件の「Xデー」到来だ。
事態は水面下で急変している。次ページで、その全てを明かす。